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麺食「『喜多方ラーメン 坂内』がニューヨークに出店する理由とは」

2019年04月07日 公開
2022年10月25日 更新

【経営トップに聞く】中原誠(麺食社長)

 

アジアではなく、あえて米国に進出した理由とは?

中原誠
LAコスタメサ店

 

 ――2014年のLA コスタメサ店を最初に、米国での出店も進めています。なぜ、海外進出先に米国を選んだのでしょうか?

中原 ラーメン店をはじめ、外食企業には、アジアに進出するところが多いですよね。それはアジアが成長するマーケットだからというのですが、「ほっこり」とした当社のラーメンには、エネルギーに満ちたアジアは合っていない、むしろ先進国にこそ合っていると考えました。

 また、ラーメンという商品は、お客様が様々な種類のものを食べることによって市場が広がるものですから、既に他のラーメン店が進出している場所がいい。米国の西海岸には日本と同じレベルのラーメンを食べられる店が現われてきたので、ロサンゼルスに出店することにしたのです。

 ――米国でも日本と同じ商品を提供しているのですか?

中原 同じものです。とはいえ、日本とは水も野菜も何もかも違うので、同じ味を再現するのは難しかったですね。ほとんど会社から離れていた会長(中原社長の父で創業者の中原明氏)に米国に行ってもらって、味作りをしてもらいました。1988年に新橋に1号店を出したとき、当社のラーメンの味を作ったのは会長ですから。

 ――米国の方々の反応はどうでしたか?

中原 実は、開店前からロサンゼルスでは噂になっていたんです。というのは、ロサンゼルスで開催された全米の人気ラーメン店が集まるイベントに、日本代表として出たことがあったからです。そのときに6時間待ちの大行列ができて、麺がなくなってもスープとトッピングだけを買っていく方がいるくらいでした。お客様への提供が間に合わないので、調理担当の会長と販売担当の私が喧嘩になって、その様子も面白がってもらえたみたいです(笑)。

 ――あっさりしたラーメンが、米国人に受け入れられたわけですね。

中原 「フレーバーフル」だと言われますね。味わい深い、ということでしょうか。厚い焼豚も人気です。

 ――ロサンゼルスのあと、中西部のイリノイ州や東海岸のニュージャージー州にも出店し、さらにニューヨークのマンハッタンにも出店を予定されています。

中原 ニューヨークはロサンゼルスよりも競争が激しいですし、お客様の要求度も高い。かなり難しい市場ですが、マンハッタンに店舗を持つということはブランドの底上げになりますから、挑戦したいと思っています。

 ――米国の店舗で働いているのは日本人ですか?

中原 いえ、現地の方です。海外には、日本人が働いていて、お客様も日本人ばかりという日本料理店がよくありますが、それでは現地に入り込むことができません。現地の方々に来ていただくためには、店員も現地の方のほうがいいでしょう。

 ただ、店舗には会津の民芸品を置いていますし、三味線の音が流れています。接客も日本と同じです。身体の前で手を組むのが屈辱的に感じるらしく、拒否する店員もいたのですが、そうした意味のあるものではないと説明して、納得してもらいました。

 

著者紹介

中原 誠(なかはら・まこと)

〔株〕麺食代表取締役社長

1973年生まれ。埼玉県出身。東京都立大学卒業後、〔株〕第一勧業銀行(現・〔株〕みずほ銀行)に入社。起業を志し、28歳で退職。飲食業のノウハウを修得するため、〔株〕ベンチャー・リンク(現・〔株〕C&I Holdings)に転職。その後、現場体験を求め、〔株〕グローバルダイニングへ。3年間勤めたのち、父・明氏が経営する〔株〕麺食に入社。2012年、代表取締役に就任。

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