2019年04月07日 公開
2022年10月25日 更新
あっさりとしていながらコクのあるスープに食感の良い平打ち麺、その上に乗る、とろけるような焼豚……。他のラーメン店とは一線を画した商品で人気の『喜多方ラーメン 坂内(ばんない)』は、米国にも進出し、今年はニューヨークのマンハッタンにも出店を予定している。その人気の理由とは? そして、これからの展開は? 創業者の長男で2012年から社長を務める中原誠氏に取材した。
――順調に業績を伸ばしているようですね。
中原 私が入社した2005年の年商は約15億円でしたが、今は国内だけで約30億円と、倍になりました。ただ、店舗数は、05年が60弱で、今は米国を入れて74と、それほど増やしていません。7~8年前にブランドを再構築した際には、我々と考え方を共にしていただけないフランチャイズ加盟店との契約を切って、店舗数を減らしたこともあります。
――ブランドの再構築というと?
中原 私の父が経営していたときに、最大で89店舗まで拡大したことがあったのですが、ラーメンブームが去った影響などで、その後は店舗数が減っていました。しかし、当社の商品を食べると、やっぱり美味しいんです。89店舗で頭打ちになったのは、商品力によるものだとは考えられません。原因はマネジメントにあったと考えました。
ブランド再構築前は、直営店は15%ほどで、その他はフランチャイズだったのですが、実態は「のれん分け」と言っていいものでした。当社のラーメンが好きな人が修業をして、独立して店を持つと、それ以降は味以外の指導はしていなかったのです。メニューさえも店舗ごとにバラバラでした。ですから、本部の経営戦略に則って現場が動くということがなく、ブランドの構築が不十分だったのです。
そこで、直営店の比率を3割以上にまで引き上げるとともに、スーパーバイザーを増やし、フランチャイズ加盟店に対する本部のマネジメントを強化しました。そして、それを受け入れていただけなかった加盟店とは契約を切りました。
そのうえで、商品の美味しさをお客様に知っていただくためには、まずは1度、入店していただかなければなりませんから、季節限定のメニューを作るなど、初めての方に入店していただくための施策も始めました。
そうすることで、1店舗当たりの売上げをアップさせることができました。結果が出たことで、初めは私のことを怪訝な目で見ていたオーナーの方々にも、認めていただくことができたと思います。
――来店するのは、どういった層が中心なのでしょうか?
中原 30~50代の男性が多いですね。ランチ需要が大きいので、オフィス街に多く出店しています。一方、郊外店では、週末の家族連れのお客様も多いです。
――商品力は疑いようがないということですが、どんなところが支持されていると感じていますか?
中原 当社のラーメンを「懐かしい」と言っていただくことがあるのですが、ラーメンブーム以前のラーメンは、こういうものが一般的だったと思います。ブームに左右されず、かたくなに守ってきた結果、気がついてみたら他にはない商品になっていたのではないでしょうか。
店舗も、会津の民芸品が置いてあったり、のんびりした音楽が流れていたり、店員に50~60代の女性が多かったりと、鉢巻をした頑固おやじがいるような、ラーメンブーム以降のいわゆる「ラーメン屋」っぽくありません。
『喜多方ラーメン 坂内』の「焼豚ラーメン」
更新:11月22日 00:05