2019年05月07日 公開
2022年10月25日 更新
――先ほど、御社は「持たざる経営」をしているというお話がありました。
堀内 創業時から変わらない、「協和の基本4原則」という憲法のようなものがあって、その一つが「持たざる経営で、家族的な全員経営を推進する」というものです。できるだけ社員の数を少なくして、効率の良い経営をしていきたいと思っています。
また、工場を持つと、「工場を稼働させるために、この商品を売ろう」というように、お客様志向とは反対の経営をしてしまいます。常にゼロベースでお客様のことを考えられる体制を取るための「持たざる経営」なのです。
――持たざる経営という発想は、どこから来たのですか?
堀内 一つは、お金がふんだんにあれば、すべてを自社でやってもいいのかもしれませんが、そうではないので、商品開発とハイテクを含めたシステムや売り方開発だけにお金をかけよう、ということです。
もう一つは、先ほどもお話したように、時代が激しく変化する中でも、ゼロベースでお客様のことを考える組織にするためです。
――堀内社長はもともと住友化学工業〔株〕に勤務されていました。その経験は関係しているのでしょうか?
堀内 住友化学工業は32歳で辞めて、その後、色々な仕事をしました。今の仕事の前は、伊藤忠商事〔株〕と〔株〕ドールと組んで〔株〕ケーアイ・フレッシュアクセスという会社を作り、社長・会長を8年間勤めていました。従来、生鮮農産物はすべて市場経由で流通していたのですが、市場を通さずに直接スーパーに持って行く流通革命を起こそうという会社です。
しかし、ストアレスという販売形態に関心があって、ケーアイ・フレッシュアクセスは中間流通業ですから、自分が本当にしたい仕事とは違うという気持ちがありました。もともと美や健康にも関心がありましたから、58歳のときに今の事業を始めたんです。
――なぜ、ストアレスに関心があったのですか?
堀内 これからは、BtoCでお客様と本当にコミュニケーションを取れるのは、ストアレスのBtoCだと思うんです。色々なハイテク機器が出てきていますから。
店舗を作ると、お金がかかるうえに、お客様とのコミュニケーションもうまくいきません。費用対効果の問題で、店舗にお金をかけるなら、そのお金をハイテクにかけたほうが、より効果的なコミュニケーションが取れると思います。
――fracoraを始めてからは、すぐに軌道に乗りましたか?
堀内 運よく、『フラコラ500』というコラーゲンドリンクの商品がすぐにヒットしました。コラーゲンは、今は広く知られていますが、当時はほとんど誰も注目していませんでした。
商品開発のコンセプトの一つは「高純度・高実感」です。『フラコラ500』は1本で1万ミリグラムものコラーゲンが摂れて、味もよく、一世を風靡しました。大手の食品メーカーや化粧品メーカーが、同じ色のパッケージで追随してきたくらいです。
他社が参入して競合するようになると、今度は『プラセンタつぶ』というプラセンタのサプリがヒットしました。
サプリが売れたので、「プラセンタのエキスの原液も売ったらいいんじゃないか」と社員から発案があって出したのが、『プラセンタエキス原液』です。今では一番売れている商品です。
このようにヒット商品を続けざまに出せた、運が良い会社なんですよ(笑)。
――最初にコラーゲンに注目したのは、なぜだったのでしょうか?
堀内 他社がやらないことで、高実感なものを探したんです。実感がないと、どんなに宣伝をしても、リピーターになりません。リピーターがいないと、事業として成り立ちません。だからこそ、「高純度・高実感」なのです。
――実感してもらうためには、まずは1度、買ってもらう必要があります。初めての人に買ってもらうためには、どのような施策をしているのでしょうか?
堀内 初めの集客は、一部、新聞やウェブもありますが、主にテレビでしています。そこで集めたお客様と長くお付き合いをするためには、まずは実感。そして、どんなに実感があっても、人は飽きるものですから、先ほどお話したようなストーリーも作ろう、というわけです。
――ストーリーを作るためにプロジェクトチームを作ったということでしたが、もう少し詳しく教えてください。
堀内 当社はもともと、壁は低いのですが、縦割りの組織でした。それでは、どうしてもモノ単体で考えてしまい、ストーリーまで作れない。そこで、縦割りも若干は残しながらも、美顔プロジェクト、毛髪プロジェクト、更年期プロジェクトなどの、商品開発も売り方開発もすべてやるプロジェクトチームの集まりに組織を変えたのです。
更新:11月23日 00:05