2019年03月13日 公開
2023年03月10日 更新
「直感や感性という主観的なアプローチでビジネスができるのか?」と疑問に思うかもしれないが、山口氏は、「個人の想いがあったほうが、むしろビジネスは拡大する」と話す。
「『自分はこれがいいと思う』という美意識を表に出せば、共感する人が必ず現れます。たとえそれが世の中の5%だったとしても、今の時代なら非常に強いビジネスになります。
例えば、モレスキンというブランドのノートがあります。かつてゴッホやヘミングウェイも愛用したノートで、1冊2,000円以上もします。作り手の美意識が詰まった商品です。
ノートにこれだけのお金を払う人は、市場全体で見れば限られます。しかし、世界中に根強いファンがいます。
日本の大手文具メーカーが、市場調査に基づいて、できるだけ多くの人が欲しがるように作ったノートとは、対極にある商品だと言えます。
では、『5%の人しか欲しがらなくても世界中にファンがいる商品』と『日本の50%が欲しがる商品』では、どちらの市場が大きいか。世界の人口が70億人、日本の人口が1億人だとすると、前者は3.5億人、後者は5,000万人ですから、答えは前者です。
つまり、『ローカル・メジャー』より『グローバル・ニッチ』を狙ったほうが、ビジネスのスケールが大きくなるのです。
今は、誰かが『自分はこれが好き』という商品やサービスを世に出すと、共感した人がSNSで『これ、すごくいいよ』と世界中に知らせてくれます。『多数の人が、なんとなく好むもの』よりも、『少数でもいいから、"これは自分のためのものだ"と強く惹かれるもの』のほうが、訴求力が強い。だからこそ、商品やサービスを提供する側が、思い切り、自分の感性や好みを打ち出す必要があるのです」
更新:11月23日 00:05