2018年03月26日 公開
2023年03月23日 更新
「新しいことを覚えるのが億劫だ」「昔に比べて融通が利かなくなった」。変化を嫌い、経験則でのみ物事を語るのは、思考が老化した証拠だと指摘するのは、日本を代表する脳科学者の茂木健一郎氏。AIが台頭するこれからの時代、思考の柔軟性がなければ生き抜くことは難しい。しかし、歳を取ってからでも脳を鍛えることは可能だという。では、どうすればいいのか。脳の無限の可能性と、脳を若返らせる方法についてうかがった。
かつて、人間にとって頭の良さとは「記憶力」や「知識量」を指していた。だが、インターネットの出現により、世の中の大半のことは検索すればわかるように。結果、知識に代わって「判断力」が問われるようになったが、それすらもAIに取って代わられようとしている。
このような時代にあって、我々はどのように思考力を磨いていくべきなのか。脳科学者の茂木健一郎氏はこう語る。
「AIが得意とするのは、ビッグデータをもとに学習し、適切な解を見つけ出すことです。ですから既存の分野、とくにプレーヤーが多く、過去の事例や情報が膨大に蓄積されている分野においては、AIと競っても敵うわけがありません。
一方、これから成長が見込める新たな分野を開拓したり、今まで誰もやってこなかったアイデアを実現したりといったことは、AIが苦手とする分野であり、ここでこそ人間の思考力が発揮されます。こうした能力を私は『ブルーオーシャン力』と呼んでいます」
ここで求められる思考力とは、いわゆる「優等生」の能力とはまったく違う。
「従来の教育は、与えられたルールの中で正確な答えを出す人が優秀とされてきました。でもこれはまさにAIが得意としていること。今後はルールの中で高い成績を上げられる人ではなく、自らルールを作れる人が生き残っていけます。既存の枠組みの外に出て物事を考えられる『アウト・オブ・ボックス思考』が求められているともいえます」
更新:11月23日 00:05