2019年02月21日 公開
2023年01月25日 更新
ボーイングやマイクロソフトなど、シアトルに本拠地を置く巨大企業は多い。しかし、シアトルは人口約70万人の小都市で、同じ西海岸のロサンゼルス(約400万人)やサンディエゴ(約140万人)と比べてそれほど大きくない。なぜこの地で先進的企業が次々と生まれるのだろうか。日米間のビジネス・コンサルティング会社を経営し、アメリカのビジネス事情に詳しい石塚しのぶ氏に、ご寄稿いただいた。
シアトルは米国西海岸北部に位置する港町である。その港はアジアへのゲートウェイであり、コンテナ貨物の年間取扱量では全米第5位の規模がある。北へ2時間も車を走らせればカナダとの国境に到達する。南東には「タコマ富士」と呼ばれ慕われるレーニア山をたたえる穏やかな環境でありながら、同時に国際色溢れる都市でもある。
山と森林に周りを囲まれた立地ゆえに、地域が最初に栄える原動力となった産業は伐採業であった。しかし、第二次世界大戦後の繁栄には、航空機産業のボーイング社が大いに貢献した。
そして1979年、かのマイクロソフトがニューメキシコのアルバカーキからワシントン州のベルビュー、そしてレッドモンド(ベルビューもレッドモンドもシアトルの郊外)に本社を移転したことが、今日の「テクノロジー・センター」としてのシアトルの基盤となった。
マイクロソフトがその本社になぜ、シアトルを選んだのか。複数の理由があると思うが、最も単純な理由は、マイクロソフトの共同創設者であるビル・ゲイツもポール・アレンもシアトル出身だったからだ。同じような路線で調べてみると、シアトル地域を代表する有名大企業には、その創設者がシアトル出身であった、あるいはシアトルと強いつながりがあったケースが多い。
71年に設立されたスターバックスも共同創設者3人中2人がシアトル出身、83年設立のコストコは現CEOのジム・セネガルはペンシルバニア州の出身だが、コストコの前身であるプライス・クラブで出会い、共にコストコを立ち上げたジェフリー・ブロットマンはシアトルの出身だった。
更新:11月22日 00:05