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忙しくても効率的に成果を出せる「G+PDCA」学習法

2019年02月13日 公開
2023年03月10日 更新

石川和男(税理士/社会保障経済研究所代表)

目標を達成する「G+PDCA」の回し方

 

G=Goal 目標&目的

PDCAを回すには、まず「ゴール」を設定することが不可欠。自分が目指す目的地がわからなければ、計画の立てようがない。多くの人は「資格試験に合格する」という「目標」は立てるが、それだけでは不十分。「何のために資格を取りたいのか」という「目的」をはっきりさせることが重要だ。そうすれば、学習中に飲み会や遊びに誘われても、「自分は目的を達成するための近道である勉強を選ぶ」という判断ができる。目標はあくまで目的を達成するための手段であり、「資格試験に合格して、何を実現したいのか」を明確にすることが学習のモチベーションや集中力を高めてくれるのだと理解しよう。

 

P=Plan 計画
「2割減」と「バッファ」が挫折しない計画の鍵になる!

学習計画を立てる際のポイントは、完璧を目指さないこと。あれもやろう、これもやろうと計画を盛り込み過ぎると、その通りにいかなかった時に挫折しやすい。一度計画を立てたら、そこから2割削るくらいでちょうどいい。また、計画にバッファを持たせることも必要。急な残業や体調不良で平日の学習が計画通りに進まなくても、例えば日曜の午後を予備日にしておけば、そこで追いつける。
いったん計画を立てたら、まずはお試しのつもりでざっくりPDCAを回してみよう。とりあえず1週間回してみれば、「週明けの月曜は仕事が忙しくて、他の曜日ほど勉強できない」「土曜は意外と家の用事が多くて、予定したほど進まない」といったことがわかる。完璧主義の人は、一度立てた計画を変えることに抵抗を感じることが多いが、学習計画は仕事の状況や生活スタイルに合わせて柔軟に変えた方が無理なく長続きできる。

 

D=Do 実行
実行段階は効率重視! 時間が取れても制限を設けよ

 忙しいビジネスパーソンは、学習の実行段階になったら何よりも効率を重視すべき。まとまった時間が取れるときでも、「この問題は五分で解こう」などと厳しい制限時間を設定すれば、集中力が高まって短時間で効率的に頭に入る。やる気が出ない時は、「まず3分だけやってみよう」と思って取り掛かろう。人間は「作業興奮」という心理的作用により、「一度取り掛かったら続けたくなる」という性質があるので、あとは30分、1時間と続けられる。

 なお、人間が十分に覚醒して作業できるのは朝起きてから13時間が限界で、15時間以上では酒気帯び運転と同程度の作業効率にまで低下することが研究で明らかになっている。よって、学習はできるだけ朝の時間を使うと効率がアップする。夜に勉強する場合も、遅くまで残業してからやるのではなく、定時が来たらまずはいったん勉強して、それから残業を片づけるといった時間の使い方をすると、学習効率を大きく下げずに済む。

 

C=Check 検証
A=Action 改善
模擬試験は「気づき」の宝庫間違いノートを反復せよ

 習はやりっ放しでは意味がない。自分がどこまでできているのかを検証し、改善につなげなければ資格試験の合格には近づけないからだ。検証するには、問題集を解いたり、模擬試験を受けたりして、アウトプットする場を作ることが必要。特に模擬試験は気づきの宝庫なので、単に「何点取れたか」だけを見るのではなく、「なぜこの点数だったのか」を掘り下げて検証することが重要だ。
例えば、「本来の力なら解ける問題だったのに、時間がなくてできなかった」なら、「1問にこだわって時間を使いすぎないようにする」、「解ける問題をケアレスミスで間違ってしまった」なら、「見直す時間も考慮に入れる」といった改善ができる。また、「間違いノート」を作ってわからなかったことや疑問点をまとめておけば、スキマ時間などにいつでも自分の弱点を確認できると同時に、「これさえ見れば、わからないところを確認できる」と思えるので精神的にも安心できる。

 

<『THE21』2019年2月号より>

著者紹介

石川和男(いしかわ・かずお)

税理士/専門学校講師

1968年、北海道生まれ。建設会社の経理部に勤務中の30代から勉強を開始、日商簿記3級を皮切りに、建設業経理事務士1級、税理士と数多くの資格を取得。現在は税理士、大学・専門大原簿記学校講師、建設会社総務経理担当部長を務める他、セミナーや講演でも活躍。著書に、『人生逆転! 1日30分勉強法』(三笠書房)などがある。

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