2019年01月21日 公開
2023年03月10日 更新
3.の声の調子は、話すテンポや声のトーンのことです。
早口で話している相手に対して、こちらがゆっくり答えていると、相手はイライラしてしまいます。その逆に、ゆっくり話している相手に早口で答えると、相手は急かされているように感じます。
また、人は楽しい話をしているときは声が高くなり、重い話をしているときは声が低くなるものです。ですから、声のトーンを相手に合わせることで、相手と同じ気分を共有していることを示すことができます。
4.の言葉は、厳密には非言語コミュニケーションではありませんが、要は「オウム返し」をするだけです。相手が「先週の日曜日、ゴルフに行ってきたんですけどね」と話し出したら、「へえ、ゴルフに行かれたんですね」と、そのまま返すのです。
簡単なように思うかもしれませんが、ほとんどの人はオウム返しができません。つい、「それはいいですね」などと返したりします。
けれども、もしかしたら相手は、ゴルフの帰りに渋滞に遭って大変な思いをしたことを話したかったのかもしれません。もしそうだとしたら、「いいですね」と言われてしまうと、自分が話そうと思っていたことを遮られたと感じるでしょう。
ですから、「ゴルフ=楽しい」という思い込みや憶測を挟まずに、単純に相手の言葉をオウム返しすることが大切なのです。
オウム返しを繰り返すうちに、相手が「ゴルフに行って楽しかった」という話がしたいのか、「大変だった」という話をしたいのかが見えてきます。見えてきてから、相手が話したいと思っていることに乗ってあげることで、相手と波長を合わせることができます。
皆さんの周りにも、話がうまいわけではないのに、「なぜかあの人といると楽しい」とか「つい色々と話してしまう」という人がいるのではないでしょうか。その理由はペーシングにあります。話すことが下手な人でも、ペーシングを使えば、会話上手になることは十分に可能なのです。
《取材・構成:長谷川 敦》
《『THE21』2019年1月号より》
更新:11月25日 00:05