2017年04月27日 公開
2023年04月06日 更新
どんなにスラスラと話しても、目が泳いでいたら説得力は一気になくなる。非言語情報のコントロールは、話し方を磨くうえで非常に重要な要素だ。噺家の研究をしている認知科学者・野村亮太氏に、言葉以外の「話術」の極意をうかがった。
まず、視線の話から始めましょう。視線は豊富な情報を含んでいて、話しながらさまざまな判断をするうえでの強力な指標になるからです。
話し手が自分の言葉に自信を持っているかどうか。きちんとこちらを向いて話しているかどうか。私たちは会話をしているとき、相手の視線から、そうしたことを無意識に判断しています。ですから、相手との距離を縮め、信頼感を得るためには、まずは相手の目を見て話すことが重要です。
もっとも、文化によっては、相手と目を合わせることが敵意の表現になる場合もあります。しかし、少なくとも現在の日本では、そんなことはありません。目を見るのは「心を開いています」というサインとして相手に伝わります。
ただ、中には人の目を見るのが苦手だったり、相手と視線が衝突したりするのが苦手だという人もいるでしょう。その解決策は2つあります。
1つは、相手と正面から視線がぶつからない位置取りをすること。テーブルを前に座って話すなら、相手と直角の位置に座ったり、相手の正面には同行者に座ってもらったりして、視線が衝突しないようにします。
もう1つは、古くからの礼法にもあるように、相手の目を見るのではなく、目と肩、胸を結んだ六角形をぼんやりと見る方法。これなら、視線を合わせることなく、きちんと相手のほうを向いているように見えます。
ただし、いずれの場合も、話が大事なポイントにさしかかったときや、とくに伝えたいことを話すタイミングでは、しっかりと目を合わせるようにしましょう。「ここが大事です」と目でも強調するわけです。
更新:11月25日 00:05