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重要なのは、メンタルを「マネジメント」する技術

2018年12月20日 公開
2023年03月13日 更新

柴田励司(Indigo Blue代表取締役会長)

 

気が合わない人ほど懐に入り込め!

 柴田氏は、メンタルが強い人と弱い人の違いは、コンフォートゾーンの広さに関係があると話す。

「コンフォートゾーンとは、自分にとって居心地が良い場所のことです。

 コンフォートゾーンが狭い人は、仕事でちょっとした課題を与えられただけで、それをストレスやプレッシャーに感じます。

 ですから、強いメンタルを手に入れたいのならば、コンフォートゾーンを広げていくしかありません。そのためには、どんどん新しいことに挑戦することです。

 もちろん、新しいことに挑戦するのは、それ自体がストレスやプレッシャーになります。しかし、挑戦しない限り、強いメンタルを手に入れることはできません。

 そこで有効なのが、先ほどもお話しした『演じる』ことです。『あの人はいつもいろんなことに挑戦していてカッコ良いな』と思える人を見つけて、その人を演じるのです。

 もし、ムチャ振りをする上司の下で働いているのなら、コンフォートゾーンを広げるチャンスです。必死になって対応しているうちに、自然と広がっていきます。そうなると、少々難度が高い仕事を与えられても、さほどストレスやプレッシャーを感じずに取り組めるようになります」

 読者の中には、上司や同僚との人間関係がストレスの要因になっているという人も多いだろう。そのストレスに対処するには、どうすればいいのか。

「私の場合は、気が合わない人ほど自分から声をかけて、一緒に食事をしたり、お酒を飲んだりするようにしてきました。

 そのときには、自分は聞き手に回って、とにかく相手から話を聞き出すようにします。すると、その人が大切にしている価値観や考え方が見えてくるので、今後、その人とどう接していけばいいのかがわかります。

 相手も、話をしているうちに、次第にこちらに気を許し、自分のことを仲間だと認識してくれるようになります。そうやって相手の懐に入り込むことで人間関係を改善したことが、何度もありました。

 もちろん、嫌いな人に声をかけるのは、大変なストレスです。でも、だからといって逃げ回っていると、永遠に相手との距離は縮まりません。気が重くても、『えいやっ』と声をかけることが大事です」

 

なんでも相談できる人を持っておこう

 人は孤独に弱い生き物だ。自分のことを理解し、支えてくれる人が周りにいるときには、少々の困難にもひるまずに立ち向かうことができる。しかし、孤立無援になると、メンタルがすぐに参ってしまう。

「だからこそ、常に近くにいる職場の人たちとの関係は、自分から働きかけて、良好に保っておくことが大切です。

 同僚と信頼関係を構築できないと、大きな仕事をすることもできません。

 もう一つお勧めなのは、自分の悩みや直面している課題をなんでも相談できるメンターやコーチのような存在を持っておくこと。

 テニスの大坂なおみ選手が、今年あれだけ活躍できているのも、彼女を技術面とともに精神面でも支えているコーチの存在がとても大きいですよね。

 どんな場面でも、いつも優れたパフォーマンスを発揮できている人は、必ずしもメンタルが強いわけではありません。メンタルをマネジメントするのがうまいのです。

 メンタルをマネジメントする技術を身につければ、誰でも、ストレスやプレッシャーに適切に対処することができるようになります」

 

《取材・構成:長谷川 敦 写真撮影:吉田朱里》
《『THE21』2018年12月号より》

著者紹介

柴田励司(しばた・れいじ)

〔株〕Indigo Blue代表取締役会長

1962年、東京都生まれ。上智大学文学部英文学科卒業後、〔株〕京王プラザホテル入社。1995年、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング〔株〕(現・マーサージャパン〔株〕)入社。2000年。同社日本法人代表取締役社長に就任。2007年に退職したのち、〔株〕キャドセンター代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ〔株〕代表取締役COOなどを歴任。2010年、〔株〕Indigo Blueを設立し、代表取締役社長に就任。著書に『遊んでいても結果を出す人、真面目にやっても結果の出ない人』(成美堂出版)など。

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