少子高齢化が進む日本では「人材育成」もまた、働き方改革の重要な取り組みの一つです。
例えば、新入社員を数年間下働きさせるようなかつての新卒育成モデルは、もはや企業にも社員にも利するところがありません。今は、学生時代からインターンやベンチャーで仕事を経験している新入社員も増えています。目的意識や働く意欲が旺盛な新入社員ほど、早々に見切りをつけて辞めていってしまいます。
育成において大切なのは、業務内容とスキルのミスマッチをなくすこと。そのためにまずするべきことは、それぞれの業務に必要なスキルや経験を具体的に「言語化」することです。
その際、プレゼン資料作成能力、クリティカルシンキング能力、Javaのスキルなど、より細かく示すのがポイント。必要なものがわかり、ゴールが明確化され、未来が見えることで、当人は行動しやすくなり、エンゲージメントも高まります。同時に、その業務(組織)に足りないものも見えてくるはずです。
長年培ってきた仕事観、企業風土は一朝一夕には変わりません。だからこそ働き方改革に取り組む人は、残業時間削減などの目に見える成果ばかりではなく、「社員が積極的に意見を言うようになった」「時間を意識した働き方に変わった」などの「変化」に目を向けてほしいと思います。それが近い将来、必ず成果として表れてくるはずだからです。
≪『THE21』2018年10月号より≫
≪取材・構成:麻生泰子≫
更新:11月22日 00:05