2018年10月16日 公開
2018年10月18日 更新
今、社会で起こっている様々なことや、次々と表面化する問題。それらのベースにあるものは何かを理解し、それをうまく活用するのに役立つ本を紹介する。
『社会は変えられる』
江崎禎英著
国書刊行会/1,944円(税込み)
現役官僚が社会問題に切り込む
医療費や介護費をはじめ、超高齢化社会を迎えた日本社会の問題点に経済産業省の現役官僚が鋭く切り込んだ1冊。
「この本を読んでもらえばわかりますが、現在の医療制度は医者と製薬会社だけが儲かる仕組みになっている。そこに日本の財政赤字の大きな要因があります。大学病院クラスの医療機関では、患者は人生最期の3日間で生涯医療費の30%を使っているそう。それが本当に医療を受ける人たちのためになるのか。この本を読むと、現在の社会保障制度や医療費の問題はもちろん、『医療の高度化による延命が本当に人間にとって幸せなのか』という死生観についても考えさせられます」(土井氏)
『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』
三戸政和著
講談社+α新書/907円(税込み)
後継者のいない優良企業を救う!
ゼロから起業するより、後継者がいなくて困っている優良企業を買って、自分が経営者になりなさい。そんな新たなキャリアの選択肢を提示した話題の本。
「日本にある中小企業380万社のうち、約7割が後継者不在。その中には高い技術を持ち、黒字の優良企業がたくさんある。しかも後継者難で困っているから安く売ってくれて、経営者になれば自分が決めた額の役員報酬をもらったうえに、ある程度自由に使える経費もある。この本を読めば、こんなにおいしい話があるのかと思うはず(笑)。一方で後継者がいなくて潰れかけている会社があり、一方でサラリーマンの給与は上がらないという現実がある今、そのミスマッチを解消する策を明快に示した1冊です」(土井氏)
『未来の年表2』
河合雅司著
講談社現代新書/907円(税込み)
未来予測から今やるべきことを考える
ベストセラーになった『未来の年表』シリーズ第2弾。人口減少が進む未来の日本で何が起こるのかを数字やデータから分析し、家庭や職場、地域社会など身近な切り口から具体的に示す。
「例えば、今は人手不足で農家は野菜を作れなくなっています。一方で、今後は高齢化が進み、身体に良い野菜の需要は伸びる。つまり、これから農業に参入すれば儲かるということ。結局ビジネスの成否は需要と供給で決まるので、それを見通すための数字やデータを押さえることが重要。この本は未来につながる様々な事実を提示し、どこにビジネスのヒントがあるかを示してくれます」(土井氏)
『福岡はすごい』
牧野 洋著
イースト新書/930円(税込み)
福岡が勝ち組になった理由とは?
「世界で最も住みやすい都市ランキング」で上位の常連となっている福岡。なぜ今、福岡が勝ち組なのかを解説し、東京一極集中への問題提起を果たした1冊。
「福岡空港は市街地までの距離が近く、世界で4番目にアクセスが良い。2030年まではアジアの人口が増え続けると予測されますが、“アジアの時代”が到来した時、海外の窓口になれるのは福岡しかない。今の段階でも、福岡市は2010~15年の5年間で5.1%の人口増を記録し、第2位の東京(3.7%増)を引き離している。東京一極集中の時代がすでに終わりかけていることを、この本が教えてくれます」(土井氏)
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更新:11月22日 00:05