2018年10月09日 公開
手帳は紙とデジタルを併用している野口氏だが、メモに関しては専もっぱらのデジタル派だという。
「以前は手書きでメモをしていましたが、デジタルなら思いついた瞬間に音声でメモを取ることができ、圧倒的に早いのです。
メモについてはよく『重要なことをメモすべき』という人がいますが、何が重要かは、その時点ではわかりません。しかも、記憶は時間との勝負。人間の記憶は長期記憶と短期記憶に分かれますが、短期記憶は10分も持ちません。だから思いついたら、なんでもすぐにメモをすべきなのです。重要でなければ、あとで消せばよいだけの話です」
こうして集めたメモは、書籍や記事の材料となる。
「グーグルドキュメントを使っているので、どんなデバイスからでもアクセスできます。例えばスマートフォンで取ったメモに、PCで文章を書き足すこともあります。私が発刊する書籍は、こうしたメモの集積です」
メモは膨大な数に上るが、あえて分類したり整理したりすることはないという。
「『情報は分類しない』というのは、私が『「超」整理法』以来ずっと唱えてきたことです。その代わりに時系列で並べ、使ったら最初に戻す、というルールを徹底すれば、必要なときに必要なものをすぐに取り出せます。
そして現在では、『検索』することでさらに素早く情報を取り出せるようになりました。ますます分類する意味はなくなっているのです。
ちなみに昨年刊行された『アルゴリズム思考術』(早川書房)によれば、『「超」整理法』のノウハウは、コンピューターサイエンティストの観点からも正しいそうです。私が長年唱えてきたことが認められて、嬉しく思っています」
『「超」整理法』は「怠け者の発想」だと野口氏は言うが、「面倒くさい」を排除することは、意外と重要だという。
「メモを別のところにコピー&ペーストしたりする手間は、ほんの少しのようで大きなムダを生みます。そうした手間がなるべく発生しない方法を探していくことが重要だと思います」
『THE21』2018年11月号より
更新:11月25日 00:05