2018年07月20日 公開
2023年03月14日 更新
『饗宴』/プラトン
本書は、ギリシア人が「エロス」をテーマに議論する様子を記録したもの。エロスとは、素晴らしいものに惹かれる感情のこと。「男はなぜ女に惹かれるのか」について議論する場面では、多くのギリシア人が神話をもとに説明する中、ソクラテスは内在的な根拠をもとに論を展開。「人間は死ぬから、その前に子孫を残したい」→「その前段階として女性に惹かれる」。ロジカルに考える哲学の古典として本書はうってつけだ。
『方法序説』/ルネ・デカルト
デカルトは、それまでのキリスト教に影響された哲学者とは違う概念を提示したイノベーター。彼の代表作である本書は、デカルトが「我思う、ゆえに我あり」という真理に到達するまでに、どれだけ苦労したかがわかる思考の遍歴を紹介した1冊である。彼の目的を決めてから検証し、答えに近づいていく姿勢は、即断即決を求められる場面が多い昨今にあって、学ぶことは多いだろう。
『道徳の系譜』/フリードリヒ・ニーチェ
「嫉妬をこじらせた男」が書いた能動的に生きるコツ
「他人の成功が疎ましい」。そう思わずにはいられない。本書では、こうした嫉妬(ルサンチマン)の乗り越え方を解説。ちなみに、ニーチェ自身はとても嫉妬深い性格だった。しかし、他人を批判して溜飲を下げても知的生産性レベルが低いままであることを自覚し、能動的に生きるための足かせになると批判。ルサンチマンに囚われず、自分の人生を生きるために必要な考え方を提示した。
『THE21』2018年7月号より
取材構成 吉川ゆこ
更新:11月26日 00:05