2018年05月25日 公開
2023年03月16日 更新
ただ、営業職全体の雇用は減らないとはいえ、法人向けの営業領域で職務が二極化していくのではないだろうか。一方は、儀礼的な営業作法を、「時間と空間をつかむ」ための手段として使いこなすデキる営業。もう一方は、汗かきを見せればそれで許してくれるという、儀礼的な営業(とそれを求める顧客)。この2層に分かれて、後者もすたれることなく生き残るのではないか。
AIが進化すれば、ビッグデータを自由自在に操って、効果的かつ顧客の度肝を抜くような提案もできる。それが、デキる営業の近未来の姿だ。ただ、こうしたハイレベルな営業には、ライバル企業もハイレベルな営業を充てるため、どちらも一歩も退けない状態が続き、業務の効率化など図れないだろう。いわば「刀がレーザーソードに変わっただけで、チャンバラを続けている」ような状態だ。
一方で、そこまでの技量を持たない多くの営業職は、従来通り、顧客が多々要望を出し、それを社に持ち帰ってAIに入力し、生み出されたご託宣をありがたく顧客に持っていく。それを、メールや電話ではなく、対面で「人が話す」という行為で営業が成り立つ。顧客としては、あれこれ注文をつけ、そのすべてに忠実に応えることで信頼感が醸成される、というメカニズムだ。
肝心な部分はAIが考え、顧客へ伝える部分だけを人が担う……。これは、AIの力が及ばない作業だけを人間が担う「すき間」労働に他ならない。結果、「AIによって営業職の雇用が奪われる」といった時代が来る前に、多くの営業職の「すき間労働」化が進むのだろう。
更新:11月25日 00:05