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AIで仕事がなくなる…!? 本当に来るのは「すき間労働」社会!

2018年05月25日 公開
2025年03月12日 更新

海老原嗣生(雇用ジャーナリスト)

 

意外と侮れない「肉声」という需要

 それでは、定型的な営業行為はどうだろうか? たとえば、決まった内容を顧客に伝えるだけの行為であれば、人手は不要なように思われる。しかし、実は「話の中身」ではなく、「何でそれを伝えるか」も重要な要素なのだ。

 私が長く勤めていた転職エージェント業界は、特化型AIの研究に古くから多大な資金を投じてきた。こうして生まれた求人推薦エンジンを用いて、リクルートグループでは、以下の3つの方法で、どれが推薦効率が良いか調べるというフィジビリティスタディがなされたことがある。

(1)自動マッチングで選んだ最適求人を、メールで自動推薦する。
(2)自動マッチングで選んだ最適求人を、未熟練のアシスタント・アドバイザーが紹介する
(3)熟練アドバイザーが手マッチングして、直接、求職者に紹介する。

 一番応募率が高かったのはやはり、(3)の熟練アドバイザーの手マッチングだった。ただ(2)の自動マッチングを未熟練アシスタントが紹介した場合でも、応募率はそこそこ高く、(3)比6割程度の数値を示している。一方、(2)と全く同じものを機械送付した(1)は、(2)比100分の1程度しか応募を得られなかった。

 そう、同じ内容でも機械が直接伝えると業務成果は格段に落ちる。そこへ間に人を介すだけでも成果は飛躍的に伸びる。それが端的にわかる事例だろう。要は、「伝える中身」ではなく、「何で伝えるか」なのだ。

 そのため、AIと話していると相手が気づかないくらい高度なレベルに自動音声の技術が進まない限り、こうした面での「肉声需要」にもとづいた人の介在は、当分の間続くだろう。

 

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著者紹介

海老原嗣生(えびはら・つぐお)

サッチモ代表社員、大正大学表現学部客員教授

1964年生まれ。リクルートエイブリック(現・リクルートエージェント)入社後、リクルートワークス研究所にて雑誌「Works」編集長を務め、2008年にHRコンサルティング会社サッチモを立ち上げる。テレビ朝日系でドラマ化された『エンゼルバンク――ドラゴン桜外伝』の主人公のモデルでもある。

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