2018年05月23日 公開
2023年03月16日 更新
今年で100周年を迎えたパナソニックの創業者・松下幸之助の代表作である『道をひらく』。累計530万部超の大ベストセラー・ロングセラーであり、今なお売れ続けている書籍のため、あなたも読んだことがあるかもしれません。ところが、その内容を「日々の仕事で実践できているか?」という問いを投げかけてみると、途端に多くの人が目を背けてしまいます……。
いったいなぜ、『道をひらく』をはじめとしたビジネス書の名著や、偉人の名言集・超訳本等を読んでも、ビジネスに役立てられないのか。
最新刊『-超訳より超実践-「紙1枚!」松下幸之助』の著者であり、新入社員の頃から松下幸之助の言葉を大切にし、仕事で実践してきた浅田すぐる氏は、「3つのキーワードを理解すれば、実践への道をひらくことは十分可能」と説きます。
まずは、3つのキーワードのうち2つをまとめて紹介します。いきなりですが、1つ質問をさせてください。「成長」とは何でしょうか?
『道をひらく』をはじめ、名著といわれる書籍にいくつも触れているような読者の方であれば、成長意欲は非常に高いはずです。ところが、いざ「成長とは?」と問われてしまうと答えに窮してしまう人は、思いのほか多いようです。あなただったら、どう答えますか。
これが唯一の正解というつもりは全くないのですが、私の見解はこうです。「成長とは、2種類の側面から成るものである」と。「2種類の側面」とはそれぞれ、「器」と「能力」をさします。「人間力」と「スキル」という表現の方が理解しやすいのであれば、こちらの言葉でも構いません。
たとえば、「あの人は、仕事は物凄くできるんだけど、人間的にはイマイチなんだよな……」、あるいは「あの人は、人間的には本当に魅力的なんだけど、いざ仕事を任せてみるとからっきしダメなんだよな……」といった言い回しにすれば、具体的なイメージがわくでしょうか。前者は「器<能力」、後者が「器>能力」という捉え方をしているわけです。
このように、人の成長は「人間力的な器の大きさ」と、「日々の業務を遂行する能力の高さ」という2つの側面から捉えてみると、シンプルでわかりやすくなります。
さて、あなたの日々の学習、とりわけ読書体験は、「器を広げる」系か「スキルを高める」系のどちらが多いでしょうか。
多くの読者が、どちらかの書籍ばかりを好んで読んでいるようです。「名言集や超訳本、偉人伝や評伝的なものが好き」という人は「器」偏重タイプ。「スキル本や実務本をノウハウコレクター的に読み漁ってしまう」タイプの方は、「能力」偏重の読書スタイルということになります。自身の本棚を見ながら、どちらに重心が傾いているか、この機会に向き合ってみてください。
更新:11月13日 00:05