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相手の「好奇心」を刺激するとっておきの方法とは?

2018年05月25日 公開
2023年03月16日 更新

犬塚壮志(士教育代表取締役)

提示したモヤモヤは必ず「解消」してあげよう

そのワードは、極端かつ相手のイメージとかけ離れていればいるほど効果的です。

ちなみに、「健康にいい毒」というのは毒物と毒薬の違いを、「燃える氷」はメタンハイドレートを、「ポイ捨てOKのペットボトル」は生分解性プラスチックをそれぞれ説明するときのフレーズです。このように、一見矛盾しているように思えることをワンフレーズ、ないしはワンセンテンスに入れるのです。

ただ、ここで気をつけなければならないのが、矛盾を提示して相手にモヤモヤ感を起こさせた場合、必ずそれを解消する説明をあとに続けることです。なぜなら、相手がモヤモヤした状態のままだと、頭の中に生まれた「?」がいつまでも消えず、それが逆にノイズとしてずっと残ってしまうからです。結果的に、そのあとのあなたの説明の妨げになってしまうのです。ですので、矛盾を表現したあとは、その矛盾を解消するための説明をセットで話すようにしてくださいね。

 

人は「変化する」ものに興味を奪われる

ちなみに、これは化学という科目の特性かもしれませんが、説明力アップのヒントになるかもしれませんので、念のためにお話ししておきます。

それは、人は変化するものに対して面白いと感じる生き物ということです。この変化を、説明の中で意図的にアピールするのです。

私も講義で何度か化学実験を見せたことがありますが、目に見える大きな変化があった瞬間、生徒の目つきが変わるのです。瞳孔がパッと開いて、目がキラキラするのです。

たとえば、こんな化学実験をしたことがあります。

お米などに含まれているデンプンを水に溶かします。そのデンプンが溶け込んだ液体(透明)を三角フラスコに入れ、そこにイソジンのうがい薬(茶色)を入れます。その瞬間に一気に液体は青紫色になります。

さらに、その水面にマッチをかざし、マッチから出てきた煙を三角フラスコの空いたスペースに溜めます。

そして、煙が溜まってきたところで手で蓋をし、大きく2、3回三角フラスコをシェイクします。

そうすると、液体が一瞬にして無色透明に戻るのです。このように、相手がほとんど想定できない変化を見せたり話したりすることで、意外性を演出でき、相手の好奇心を刺激することができるのです。

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液体が無色透明に戻るメカニズム >

著者紹介

犬塚壮志(いぬつか・まさし)

 (株)士教育代表取締役/コンピテンシー・ブランドプロデューサー

福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に25才の若さで合格。駿台予備校時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼となり、キャンセル待ちがでるほどの大盛況ぶり。その講座は3,000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。「教育業界における価値協創こそがこれからの日本を元気にする」をモットーとし、講師自身の「コア・コンピテンシー」を最大限に生かした社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。予備校講師時代の経験を生かし、自分ブランドを活用した教育プログラムをビジネスパーソンや経営者に向け実践中。また,企業向け研修講師としても登壇し、さらに企業研修そのものをプロデュースするビジネスもスタートさせる。その傍ら、東京大学大学院で「学習環境」をテーマとした研究も行う。主な著書に、3.5万部越えのベストセラーとなった『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『偏差値24でも、中高年でも、お金がなくても、今から医者になる法』(KADOKAWA)などがある。

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