2018年06月28日 公開
2023年03月14日 更新
さて、AさんとBさんの活動にはもう一つ大きな違いがあります。Aさんは同業種にこだわり、Bさんは業種を変えることをためらわなかった、という点です。
近年、同業種・同職種への転職に比べ、異業種・異職種への転職の比率が増えています。業種や職種といった表面的な条件ではなく「やりたいこと・できること」を大きく捉えると、選択肢は広がります。
では「大きく捉える」にはどうすればいいか。ここでポイントになるのが「ポータブルスキル」、どの業界に行っても役立つスキルです。課題設定力、対応力、対人コミュニケーション力などはその代表例。Bさんが自分の強みととらえた「現状分析力」もポータブルスキルの一つです。
このスキルは、自分ではなかなか見えづらいのが難点です。転職エージェントなどのプロや、周囲の同僚や知人に聞いて、さまざまな意見を集めましょう。ポータブルスキルを明確に打ち出せる人材は、業種・職種を問わず歓迎されるでしょう。
また、自分の携わってきた仕事を振り返り、そこで駆使してきた能力を分析することも有効です。
たとえば営業職は、異業種でも同じスキルを発揮できますが、「異職種」となると「経験がないから」とためらう人が少なくありません。
しかしここで、営業で駆使した能力を一段抽象的に捉え、「初対面の人とも関係構築できるスキル」と考えてみるとどうでしょう。異職種でも活かせる場所が、ふんだんにあることに気づくはずです。
以上から、「転職してもいい人」の条件を整理しましょう。
第一に、自分なりの成功の定義=ゴールを見定められる人。
第二に、ミドルの転職市場がそう甘くないことを認識し、自分の市場価値をきちんと確認できる人。
第三に、自分のポータブルスキルを明確化して業種や職種にこだわらずに選択肢を大きくとれる人、となります。
最後に、「会社に何をもたらせるか」を意識することも忘れずに。「~したい」だけではなく、「御社にこういうかたちで貢献できます」という姿勢で臨むことが大事です。これは世代を問わず、喜ばれる人材の必須条件と言えるでしょう。
≪『THE21』2018年6月号より≫
≪取材・構成:林 加愛≫
更新:11月23日 00:05