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【ミドル世代転職の実状】「転職してもいい人」「後悔する人」は何が違うのか?

2018年06月28日 公開
2023年03月14日 更新

黒田真行(ミドル世代専門転職コンサルタント)

 

転職に失敗する人の共通点とは?

 だからこそ、これから転職を考える人は、自分の市場価値を冷静に見極めてほしいと思います。

 とくに避けていただきたいのが、退職後に転職活動を始めること(ちなみに、転職者のうち2人に1人が「退職後に」活動を始めています)。職場への不満から衝動的に退職し、その後100社受けても受からず、2年後に貯蓄が底を尽きる、といった悲劇も多々あります。リストラで解雇されてやむを得ず、という場合を除いては、会社を辞めずに転職活動すべきです。

 他にも、失敗する人には共通点があります。

 そのポイントは主に二つ。「転職市場の相場」を見ずに活動すること、そして「なんのために転職するのか」――転職によって何を得たいのか、そもそも何を目指して働いているのか、といった、自分自身の「成功の定義づけ」をせずに行動を始めてしまうことです。

 とくに二つめは抽象度の高いポイントですが、実はここが一番大事。出発点で目的を明確にしてこそ、その後とるべき行動もハッキリするからです。

 ここで実例を見てみましょう。大手メーカーの部長を務めていた47歳のAさんは、自分の相場を事前に確認せず、年収・ポジション・エリアが現在と同等の、同業界の案件を探しました。この年齢ではかなり非現実的な希望と言えます。

 案の定、見合う求人はナシ。1年たっても転職先は見つからず、ブランクが長引くにつれ、いよいよ不利になっていく、という悪循環に陥りました。

 一方、Bさんも同じく大手メーカー部長。Aさんより10歳年長の57歳ですが、こちらは8カ月で転職できました。

 事前調査を経て「そう簡単には決まらない」と覚悟したBさんは、エリア・業界・職種・年収にこだわらず幅広く面接を受けました。その中で目指したのは、「どんな業界でも状況の変化を分析する力がある」という自分の強みを活かすことでした。結果、前職とは畑違いのある企業に大歓迎で採用されました。規模や年収は前より下がったものの、本人は大満足。その企業が、自分の強みをいかんなく発揮できる場所だったからです。自分の中での「やりたいこと=成功の定義」をきちんと見定めていたからこその結果と言えます。

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著者紹介

黒田真行(くろだ・まさゆき)

ミドル世代専門転職コンサルタント/ルーセントドアーズ[株]代表取締役

1965年生まれ。89年、関西大学法学部卒業後、リクルートに入社。B-ing、フロム・エーの関西版編集長などを経て、2006年よりリクナビNEXTなどの編集長を8年間務める。12,000人を超える転職者・人事責任者などと接し、転職活動のノウハウや日本の中途採用市場、マッチングの構造に精通。14年、ルーセントドアーズを設立。近著に、『40歳からの「転職格差」』(PHPビジネス新書)。

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