2018年05月09日 公開
2022年10月27日 更新
転職が身近になってきたものの、ミドル世代にはまだそのハードルは高い。しかし、転職は「難しくない」というのは、自身も12回の転職をしてきた経済評論家の山崎元氏。とくにミドル世代が注意するべき転職のポイントを、体験も踏まえお話しいただいた。
新卒で入社した会社で働き続けることが当たり前の日本において「転職」はリスクを伴うと考える人はまだ多い。しかし、「将来が不確実なのはどこにいても同じ。変化に翻弄されるよりも、快適な働き場所を求めて自分から変化を起こすほうがコントロールしやすい」と話すのは、自身も12回の転職経験を持つ経済評論家の山崎元氏だ。
「たとえば、会社の業績不振から解雇されそうな場合、解雇されるまで待たないほうがいい。ズルズルと居残るうちに大規模なリストラが発生し、自分と同じような人材が転職市場にあふれれば、転職が困難になるからです。中には、自己都合で辞めると退職金が減るという理由で残る人がいますが、それよりも、自分が働きやすい環境に早く移り、将来において稼げる目途を立てるほうが大事。相手の都合に合わせて対応するのではなく、その半歩手前で、自分の意思で転職を考えるべきです。
ただし、転職先が決まる前に会社を辞めてはいけません。早く辞めたいという気持ちを抑えきれないかもしれませんが、たとえギリギリのタイミングでもより良い人がいたら、そちらを選ぶということが転職市場では起こります。最終面接を通ったとしても、もし入社の条件に健康診断があるなら、今の会社に転職の意思を伝えるのは、診断結果を待ち、転職先の会社とサインを交わしてからにするべき。最後のサインを交わすまで安心してはいけないのです」
そう山崎氏が指摘する理由は「キャリアの連続性」だ。
「とくにミドル世代にとって、転職先が決まらず無職の期間ができて仕事のキャリアに空白ができることはマイナスが大きい。次の転職の際の年収交渉にも不利になります。
また、キャリアの空白は、転職したとしても起こり得ます。たとえば為替ディーラーとしてキャリアを積んできた人が、希望に反して法人営業に配属されれば、為替ディーラーとしてのキャリアの価値が大きく損なわれてしまいます。2年後に再び為替ディーラーの職を見つけようとしても難しいかもしれません」
キャリアの断絶を避けるには、仕事の内容を次の会社と確認しておくことが重要だ。
「採る側も採られる側も、早く決めたい心理から、『細かな内容は入社してから決めればいい』と考えがち。転職における最大のリスクは、新しい仕事が自分の想像とは異なる場合があることと心得、自分が次の会社でどのような権限を持ち、どのような内容の仕事をするのかは、転職を決める前にきちんと確認しておく必要があります」
更新:11月22日 00:05