2018年06月28日 公開
2023年03月14日 更新
35歳を超えると、一気に求人数が減るという「35歳限界説」――この傾向は近年の人手不足により消滅した、と主張する人もいます。
ただ、データを詳しく見ていくと、35歳を境に求人数が半減する状況に変わりはないことがわかります。そして、40歳でまた半減、45歳でさらに半減します。
これは日本特有の風潮と言えます。欧米ではキャリアを積んだミドルのほうが若者より転職に有利なのですが、日本では逆の現象が起こります。
そこにはさまざまな理由があります。たとえば、長幼の序が重視される社会において、採用側のマネジャーが年上の部下に抵抗感を抱きがちなこと。また、年功序列システムが長らく続いた影響で、人件費が高くつくと思われがちなこと。さらには「前職の習慣から抜けられない」「こだわりが強い」などのマイナスイメージもついて回ります。
もちろん一方で、ヘッドハンティングなどによりキャリアアップを果たした人がいるのも事実です。
日本の正社員の転職者数は景気によって上下あるものの、だいたい年間150万人。そこには、さまざまなルートがあります。内訳は、求人広告経由が3割、人材紹介が1割、縁故が2.5割、ハローワークが2.5割、企業ホームページ経由などが1割。ヘッドハンティングで会社を変わるのは、その他のごく少数の人ということになります。
これらのうち、「キャリアアップの転職ができた人」は、年収で言えば上位1割強の層に集中しています。ヘッドハンティングと一部の人材紹介経由のCEOや役員といった高需要・高付加価値の人材が中心なのです。
つまり「求人倍率1.55倍」の中身は、コントラストの強いまだら模様。転職市場には激しい格差があります。業種・職種によるニーズの差、大都市圏と地方との間の差、年齢による差……。この全体像を見ず、「○○さんは45歳で転職して年収が跳ね上がった」という例を数件耳にしただけで、「自分もチャンス」と思い込むのは危険です。
更新:11月22日 00:05