2018年05月17日 公開
2023年03月16日 更新
好調を維持する中国経済。その主役こそが「40代」の経営者たちだ。グローバルに活躍し続ける彼らの力の源はどこにあるのか。日本の40代と何が違うのか。自らも40歳を前にして中国でビジネスを始めた起業家にして、現代の中国事情を知り尽くした江口征男氏にご寄稿いただいた。
中国・上海に移住し、起業してから10年が過ぎました。この10年はまさに、日本と中国の立場が逆転していく過程を、肌で感じながら過ごした時間でした。
この間、日本経済はエスカレーターを緩やかに下り続けているようです。自信を持ち眼を輝かせている中国人が多い上海から出張で東京へ行くたびに、日本のどんよりとした暗い雰囲気を感じてしまいます。「明日は今日と同じなら御の字だ」という日本。「今日より明日のほうが良くなるはず」と誰もが考えている中国。なぜ、こんなに差がついてしまったのでしょうか。
日本を抜いてGDP世界2位へと飛躍した中国経済を牽引しているのは、中国が改革開放路線に舵を切ったときに成人を迎えた、1970年代生まれの40代ビジネスマンです。例を挙げれば、検索大手「百度」の李彦宏(49歳)、中国人のほとんどが利用しているSNSアプリ微信(WeChat)や、インスタントメッセンジャーQQで有名な騰訊(テンセント)の馬化騰(46歳)、中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる小米科技の雷軍(48歳)、中国のネットショップNo.2京東商城(JD)の劉強東(44歳)等、グローバルでも活躍する中国大手企業経営者の多くは40代です。
では、中国における40代とはどのような世代なのか。日本ではよく「バブル前後」で世代が大きく変わると言われますが、変化がよりドラスティックな中国では、10年ごとに世代の断絶があると考えられています。
60代 文化大革命世代。大学に行くことすら叶わなかった。
50代 改革開放前の世代。自力で頑張っても報われるとは限らないため、とにかく節約節約で、贅沢はしない。
40代 改革開放の第一世代。まさに経済発展の波に乗ってきた世代であり、いい暮らしをしたい、家族にもさせたいという上昇志向が強い。
30代 一人っ子政策開始世代。稼いだものは全部自分のために使う。
中でも一番大きな断絶は、30代と40代の間かもしれません。一人っ子政策の開始は1979年ですが、親と祖父母の「6つのポケット」で甘やかされて育てられた30代と、親から厳しく育てられた40代は大きく違います。
更新:11月22日 00:05