2018年05月09日 公開
2022年10月27日 更新
山崎氏が最初に転職したのは1985年のこと。ファンドマネジャーを目指すため、より仕事を覚えられる環境を求めた転職だった。当時を振り返り、「転職に対する社会の評価や社内の反応は、ここ30年余りで大きく変わった」と話す。
「当時は転職をネガティブに捉える傾向があり、『前の会社で何かあったの?』とか、『今度は長く勤められるといいですね』などと同情されたものです。ところが、90年代後半になって転職者が増えると、『転職できるのは能力があり、求められる人材だから』と評価されるようになりました」
最近はミドル世代の転職も広がっていると感じるという。
「たとえば証券会社のアナリストやストラテジストなどは、昔は30代後半までしか採用しませんでしたが、今は40代や50代のミドル世代も採用しています。全体的な人材の流動性の高まりに加えて、人材不足もあり、ミドル世代も比較的転職しやすい環境になっています」
もし、転職をしようと考えていなくても、「転職する、しないに関わらず、ミドル世代は今からセカンドキャリアを考えたほうがいい」と山崎氏は言う。
「今の会社で働き続けるとしても、一般的には60~65歳で定年を迎えるでしょう。しかし、人生100年時代と言われる今、先の人生を考えると、65歳までの稼ぎでは老後資金が不足する家計が多いと推測されます。ですから、75歳くらいまで働き続けられるような環境を自分で用意しなければなりません」
セカンドキャリアに向けた準備は、定年の15年前、つまり45歳頃から始めるのがよいとアドバイスする。
「セカンドキャリアを現在のキャリアの延長線上に築く場合でも、新しい仕事を始める場合でも、『スキル』と『顧客』が必要です。
仮に、経理の仕事をしている人が定年後に税理士事務所を開業したいと思えば、税理士の資格を取得し、開業のための知識を身につけなければなりません。また、独立しても、すぐに顧客がつくわけでもありません。定年後のセカンドキャリアにスムーズに移行するには、長い準備期間が必要なのです」
山崎氏がセカンドキャリアを考え始めたのは、42歳のとき。そして、自分の将来の働き方を模索するため、12社目の転職先には、働き方が比較的自由で副業が可能な会社を選んだ。
「会社員に片足を置きながら、友人が経営するベンチャー企業の手伝いや、原稿執筆や講演、テレビ出演などいろいろな仕事に挑戦しました。そうするうちに、経済評論家としてのセカンドキャリアが見えてきたのです。
会社員としての収入は前職よりは下がりましたが、それでも定期的な収入がありながら、副業をするかたちでセカンドキャリアを築くのは、いきなり独立や起業を選ぶよりリスクが少なくて安心です。
もし勤務先で副業を認めてもらうのが難しいとしたら、セカンドキャリアを見据えたステップとして、柔軟な働き方ができる会社に転職するのも一つの方法だと思います」
更新:11月22日 00:05