2018年04月07日 公開
2018年04月07日 更新
小さな小さな町でのこと。
あれ、もう終わりなのってくらい短いメインストリートをとろとろと徐行運転していたら……、突然、道路に飛びだしてきた男性!
両手を前に張り出して車のボンネットを押さえつけ、がっぷり4つの通せんぼ。
「止まれーーーっ!」
強盗っ!!!
って思うじゃないですか、普通。
轢いて逃げても満場一致で正当防衛になる案件だよねってコンマ1秒で計算し、足の裏のアクセルに全神経を集中したとき、強盗犯が大爆笑!
「うっそぴょーんっ!(意訳。たぶん間違いないです)」って。
うひゃっひゃっひゃっ、ひとりでウケています。
………………。
笑えないって、おじさん……。
強盗が強盗を襲う世界一危険なヨハネスブルクまで半日の距離で、テロだらけの昨今。警察すら信用ならないアフリカで、一度も耳にしたことがなかった謎の国レソトですよ、ここ。
おじさんがカツオやのび太くんくらいの年齢なら苦笑いもしますが、その顔は贔屓目でチンピラ、普通にマフィア。あわよくばメキシコの麻薬ディーラーじゃないですか。
冗談は、時勢と顔にあわせてください。
辞世の句を読む一歩手前だったんですから。
辺境地をさまよう牧夫。帽子は、国旗のモチーフとなった伝統的なデザインです。
レソト人の性格をひと言で表現すると、正直者です。
特に、自分の心にだけは嘘をつきません。
言いにくいことは言わず、やりたくないことはやりません。
面倒ごとは、脊髄反射のように「口から出まかして」しのぎます。
入国した初日の宿は、Wi-Fiルーターが故障中でした。
Wi-Fiはいつ直るの?
「修理中なので、明日の朝です」
夕方、修理している様子がないので、直ったの?って訊いたら
「パスワードがわかりません」
「(なんでこんなこと拙者が言わなきゃならないの?と思いながら)担当者に訊いてくれる?」
「はい、すぐに電話します」
1時間後、「担当者に電話した?」
「電話に出ませんでした」
1時間後に再び尋ねたたら、こいつまだ諦めてないのか!って顔をして、
「料金を払っていないので、Wi-Fiはできません」
真実に到達するといった具合です。
更新:11月22日 00:05