2018年03月02日 公開
ソニー・インディア・ソフトウェア・センターが入居するバンガロールのエンバシー・テックビレッジ
私は2008年10月から、バンガロールにあるソニー株式会社のソフトウェア開発拠点(ソニー・インディア・ソフトウェア・センター)に責任者として着任し、2015年末までの約7年間滞在した。着任当時、リーマンショックの直後であり、世界的に不透明感が漂っていた。ましてインドがどうなるのか、私が関係するインドIT業界にどんな影響があるのかはまったく想像もできなかった。しかし、インドIT業界はリーマンショックを乗り越え、成長を継続し、ここ数年は先述したようにさらなる劇的な変化を遂げている。
バンガロールの生活も一変した。当初、IT業界の人たちはノキアの携帯電話かブラックべリーを持っていた。それがあっという間に一般の人々の間にまで低価格アンドロイド搭載スマートフォンが普及し、スマートフォン一台で簡単に物が買えたり車を呼べたりするようになった。さらに最近ではキャッシュレス化が始まり、近所のローカルなお店でもスマートフォンで支払いができるようになった。
キャッシュレス革命の進むスピードは日本の比ではない。それは、日本のようにATMが整備されていないからこそ、である。このように、13億人の巨大マーケットでは、社会インフラの未整備を逆手にとった様々なイノベーションが続々と生まれている。
社会インフラの整ったシリコンバレーや先進国からこうしたイノベーションを生み出すことは難しい。一方、インドで生まれたイノベーションは、その他の新興国にも広がる可能性を十分に秘めている。
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バンガロールにいると、数年先のトレンドが見える >
更新:11月23日 00:05