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顧客の心を動かす「資料の作り方」

2017年12月24日 公開
2023年03月23日 更新

前田鎌利(㈱固代表取締役)

「社内と社外」では資料の作り方が違う

 1つ注意したいのは、資料の作り方は、相手によって大きく変わるということ。とくに対象が社内か社外かによって、言葉遣いや画像の見せ方や構成は大きく異なるのです。

 まずは共通点から。社内外を問わず、プレゼンを通した提案の目的のほとんどは問題解決なので、「課題提示」→「原因」→「解決策」→「効果」という構成が基本になります。

 では、社内外での相違点はどこか。それは、問題が周知されているかどうかです。社内ならば、すでに共有された問題に対して資料を作ることが多いので、課題提示はコンパクトに、原因や解決策をしっかり示す見せ方が正解。感情に訴えるビジュアル要素は大して必要ありません。

 一方、他社に新商品などをアピールする際は、スタート地点で相手が問題を認識していることは稀です。無関心な状態から、「このままではいけない」「たしかにこの商品が必要だ」と認識してもらう──つまり、感情を動かすことが必要なのです。そのために、冒頭では課題を提示し、問題意識を喚起するビジュアルを取り入れ、解決策では、それを一気に払拭するような印象的な見せ方をすべきなのです。

 なお、社外では専門用語の多用に注意しましょう。IT業界など、専門性の高い分野に身を置く人はとくにこの点で失敗しがちです。相手に内容を理解してもらえないうえに、「細かい配慮ができない会社」と捉えられてしまいます。

 そして、どんな場合にも心得ておきたいのは「詰め込みすぎ」を避けること。パワーポイントなどのプレゼンツールは、あくまでキーワードやキーメッセージを端的に伝えるもの。長文はNG、グラフも「ワンスライド・ワングラフ」が鉄則。細かな説明は口頭で行ない、芯の部分だけをシンプルに表示することが、相手の心にダイレクトに届かせる秘訣なのです。

 

『THE21』2017年11月号より

 

取材・構成 林 加愛

著者紹介

前田鎌利(まえだ・かまり)

〔株〕固代表取締役

1973年、福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信、ジェイフォン等を経てソフトバンクモバイル〔株〕(現・ソフトバンク〔株〕)において事業プレゼン分野で活躍。2014年に独立、大手各種企業のプレゼン指導やプレゼンテーションスクールの全国展開に携わる。著者に『社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)などがある。

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