2017年12月13日 公開
2023年03月23日 更新
多くの日本人が投資に踏み切れない理由の一つは、「でも、投資って損することもあるんでしょう」という漠然とした不安です。しかし、むやみにリスクを恐れる必要はありません。人類は長い投資の歴史の中で、損をする確率をかぎりなくゼロに近づける手法を生み出してきたのです。それが「長期・積立・分散」という投資手法です。
利益重視型の投資は「安いときに買って、高いときに売る」が基本ですが、この方法は儲かるか損するか、一か八かの勝負ともいえます。しかし、「長い期間を通じて(長期)、少しずつコツコツと(積立)、いろいろな対象に(分散)投資する」手法だと全体が均ならされるので、一時的な上下を繰り返しながらも、経済の成長に合わせ、全体的にはゆるやかな上昇をしていくことになり、最終的には利益を得られるのです。
なお、世界経済は人類の進歩に即し、通常、毎年3%前後ずつ成長するという実績があります。この実績に従って「長期・積立・分散」投資をすれば、基本的にはマイナスになる可能性はかなり小さくなります。
NISAは、この「長期・積立・分散」に則って考えられた制度でしたが、非課税期間が5年間だったり、投資方法が積立でも一点買いでも選べたりということもあって、「長期・積立・分散」のメリットを発揮しきれなかった。その結果、開設されたNISA口座の約半分の500万口座しか実際に運用されず、あまり初心者に普及しなかったのです。
そこで、より「長期・積立・分散」にフォーカスをした制度として、「つみたてNISA」が作られ、2018年1月よりスタートすることになりました。
現行のNISAでは5年間だった非課税期間を、つみたてNISAでは20年間の長期とし、投資方法を積立に限定しました。そして、対象商品を投資信託に絞ることで、分散投資を制度としてしっかり組み込み、大きな資金のない若手から中堅世代も少額から投資を続けられる仕組みを整えたのです。
さらに投資のコストとして意外と軽視できない販売手数料をゼロとし、毎年発生する信託報酬に上限を設けることで、低コストまでも実現しました。
対象となる商品は現在、届け出ベースで114銘柄(2017年10月13日時点)。投資銘柄は大きく分けて、日経225、TOPIXなどの指数に連動する「インデックス型」、成長企業に投資して平均を上回るリターンを目指す「アクティブ型」があります。アクティブ型は、信託報酬は高いのですが、そのぶんリスクも高いので、初心者には「インデックス型」がお勧め。なお、世界経済は3%ずつ成長しているという実績を考えると、世界経済と連動した海外型を含む商品がよいでしょう。
さらに初心者にお勧めのポイントは、「天引き」されるということ。つみたてNISA口座を作り投資をスタートさせれば、毎月決まった日に決まった額だけ自動的に引き落とされ、あとはほったらかしでOK。定期的にコツコツ積み立てられる「つみたてNISA」は投資でありながら、最強の貯蓄手法を含んでいます。貯蓄を得意とする日本人には、始めやすい投資の第一歩と言えそうです。
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更新:11月23日 00:05