体力の維持を何より重視する吉越氏。そこには、仕事のパフォーマンスの基盤を体力に置く考え方がある。
「気力、すなわち『自信とやる気』があってこそ能力を出せるのです。そしてその気力は、体力という基盤がなくては維持できません。これらの基盤を確かなものにするために、休息が不可欠なのです」
日本人にはこの発想が根本的に欠けている、と吉越氏は憂慮する。
「能力を発揮するには、気力が落ちた段階で休むことが大事。日本人はそこを通り越し、体力が損なわれるまで働いてしまいます。体力を残した状態で週末を迎える欧米のビジネスマンとは対照的です」
体力のある状態で週末を迎えれば、スポーツや散歩、ときには旅行などの「気分転換」で気力も復活させることができる。
「身体を動かす、旅先の景色を見るなど、平日とひと味違う体験をすると、心が一新されます。それにより、前週の課題を翌週にすんなり解決できる、といった効果が得られます」
ところが、気力のみならず体力までが損なわれると、気分転換の効果は激減する。それどころか、新たな刺激がさらに体力にダメージを与える危険すらあるという。
「土日は疲れ果てて眠るのみ、という人もさることながら、無理して外に出てさらに疲れている人はより深刻。疲労が溜まる負の連鎖に陥ります」
更新:11月22日 00:05