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一発で相手を動かす!書類作成術

2017年12月05日 公開
2023年03月23日 更新

天野暢子(プレゼン・コンシェルジュ)

【提案書】改善のメリットを訴えよう

●NG例

・「何を改善するための提案か」が書かれておらず、つかみが弱い
・内線番号かメールアドレスを入れる
・文章が長すぎて概要がわかりづらい。現状のデメリットを、数字等で具体的に示す情報もほしいところ
・箇条書きはシンプルに。二つ以上の情報が入っていたら項目を分ける
・「いくらで」「いつまでに」の情報が抜けている

●OK例

・関係者にとってメリットとなるキーワードを入れる
・冒頭でシンプルに文書の目的を伝え、問題提起と提案は箇条書きに
・数字的なデータを入れることで、問題点がリアルに伝わる
・費用と期限を明記。期限に関しては、その期日を希望する理由も入れる。

「数字」を入れると効果的

相手に「提案のとおりにしよう」と動く気になってもらう提案書をつくるには、タイトルから工夫が必要です。第一印象で読み手が前向きになれるよう、「効率化」や「強化」など、改善のメリットを感じさせる語句を入れるのがコツです。

その上で「問題提起」と「改善方法」を伝えるわけですが、NGバージョンでは、問題提起部分が長々と文章で語られていてわかりづらいのが難点。どう困っているかが伝わらないと、改善へのモチベーションが上がりません。箇条書きで情報を小分けし、シンプルに伝えましょう。

ここで数字的な裏付けを入れるのも有効です。関係者に簡単にリサーチをして、「1日平均2回」という手間や「10分程度」の時間ロスを書けば現実感が一気に増します。

なお、変更に伴う費用も、判断材料として非常に重要な項目です。今回は費用が発生していますが、ゼロの場合はゼロと書くことも大事。「タダでできる」ことが説得力になります。

 

【企画書】ビジュアルに訴える

●NG例

・本文と同じような大きさ・フォントでは目立たない。文言も淡々としていて物足りない印象
・長すぎる文章では、読むのに時間がかかり、読み手の集中力が低下する
・全体的にビジュアル不足
・試算書・仕様書を添付して「詳細はこちら」だけでは不親切

●OK例

・「企画書」はヘッダーの部分に入れる
・タイトル文字を大きく。無味乾燥な名称ではなく、キャッチーな見出し風に
・一番伝えたい部分はビジュアルで表現。グラフでデータ上の情報も伝わり、人物のセリフで感情にも訴えられる
・価格や販売経路など、添付の仕様書・試算書の内容を抜粋して乗せる
・簡単な完成予想図もあるとさらに良い。手書きでも十分雰囲気が伝わる

書類も「つかみ」が大事!

全体的に「愛想ナシ」なのが、NGバージョンの問題点です。ビジネス文書という枠内でも、読む人の心に訴える工夫はできるものです。たとえばタイトルを「報告書」「企画書」といった無味乾燥なものにしないこともその一つ。名称はヘッダー部分に入れ、タイトルには前向きなメッセージを織り込んだ、「つかみ」の役割を持たせるのが良い方法です。

また、視覚情報を取り入れることも大事です。社内向けの企画書なので大がかりなビジュアルは必要ないものの、グラフや吹き出しを要所要所で使えば、雰囲気の伝わり方が大きく変わります。

なお、企画の詳細は、添付の「仕様書・試算書」に「丸投げ」しないこと。販売価格や販路、開発費用などの重要な情報は、企画書上にも簡略に記しましょう。数字は「仮」や「約」でも構いません。その情報があれば、読み手はこの一枚でアウトラインをつかめます。

 

【プレスリリース】メリハリをつけ、ひと目で価値を伝える

●NG例

・ひとまとめの「各位」では、相手への思いが伝わりにくい
・事実だけが述べられたタイトルで、惹きつける力が弱い
・ビジュアル要素が全くないため、読み手の目に留まらない
・イベント時は担当者も会場に赴くため、携帯電話番号の記載がないのは不親切

●OK例

・宛先の社名・部署を必ず入れる。担当者名がわかっている場合は氏名も
・ニュースバリューを感じさせるタイトルに。「最も」「世界初」「ランキング第1位」などのワードを効果的に入れる
・書影を入れて、ビジュアルで惹きつける
・当日の緊急連絡用に、担当者の携帯電話番号を入れる
・連絡先は囲みで目立たせる。一番確実で便利な連絡手段(この場合はメール)を大きく記載する

提出前に「白黒コピー」を取る!

新聞社やテレビ局等の報道機関は原則として、プレスリリースをFAXで受け取ります。その場合、複数枚にまたがった文書は散逸の原因に。メールで受け取るとしても、あまり長い文書は読むのが大変ですから、1枚にまとめるのが鉄則です。また、白黒のFAX紙面で見苦しくならないかも重要です。作成後に白黒コピーを取って確認すると万全。パワーポイントなら「グレースケール」で書くのもおすすめです。

内容面では、「この情報はあなたにとってお得である」ことを伝える文書にすること。

相手は毎日何枚ものプレスリリースを受け取るので、ひと目で価値の伝わるものでなければ埋もれてしまいます。書影や人物写真などのビジュアルは必須。タイトルも「日本初」「月間1位」など、卓越性を語るワードを意識的に取り入れましょう。

末尾の連絡先にも一工夫を。コツは、差し出し人にとって一番便利な連絡手段を、ほかの情報より大きく書くこと。そうすれば、相手は自然にその方法を選択します。

 

《『THE21』2017年11月号より》

著者紹介

天野暢子(あまの・のぶこ)

プレゼン・コンシェルジュ/イー・プレゼン代表

広島修道大学卒業後、広告代理店媒体担当、業界紙記者、大手ゲームメーカーやホテルチェーンの広報等を経て、2006年にプレゼン・コンシェルジュとして独立。確実に相手の心を動かせるプレゼンテーションと、その基盤となる資料作りの極意について指導を行なう。『図解 見せれば即決!資料作成術』(ダイヤモンド社)他、著書多数。

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