2017年11月13日 公開
2023年03月23日 更新
写真:photolibrary
ビジネス文書の中でももっとも書く頻度が高いと思われるのが、報告書や議事録などの社内文書だ。社外の人に見られるプレゼン資料などと比べてフォーマットがある場合も多いが、そのぶん正確に、必要事項を簡潔に書くことが求められる。書き方のマナーとコツについて、ビジネス文書や書き方の本を多数執筆する福島哲史氏にうかがった。《取材・構成=内埜さくら》
ビジネス文書は「社外向け」と「社内向け」に大別されますが、すべてのビジネス文書に共通する役割があります。それは、書かれてある情報を保全すること。これによってビジネス文書を読む誰もが、そこに書かれた情報を共有できます。いわば共有の財産として情報を活用できるようになるのです。
また、文書にしておくことで正確な情報を伝達する手段にもなります。情報を正確に伝えられることで、ある業務を見直すときや誰かに業務を引き継ぐときなどに、業務の効率化を図ることもできるのです。
このように活用できるビジネス文書を作成する際は、相手に用件が正確に伝わらなければなりません。そしてさらに、こちらが意図するように相手に動いてもらうことが必要です。
読み手に情報を正確に伝え、場合によっては動いてもらう。そのためにはどのようなことが必要になるでしょうか。
中でも事例として紹介する「報告書」「回覧書」「議事録」などの社内文書では、最低でも次の四つのルールを守って作成してみてください。
①タイトルで用件を伝える
用件ひと目で理解できるようなタイトル(件名)を、二十文字以内でつけましょう。
②文書を読む相手の顔を具体的に思い浮かべつつ作成する
社内向け文書は、自部門の上司に見せるものや、数十人程度にメールで発信するなど、特定の相手に見せるものです。相手の顔を具体的に想像しながら作成してみましょう。相手が嫌がるような文書にはしないほうがいいという、賢明な判断につながります。
③文書を残す目的の明確化
文書を残す目的を明確にしておけば、どのような項目が必要かも見えてきます。
④必ず読み返す
公式な文書として保管されることが前提にありますので、誤字や間違いがないように読み返し、場合によっては上司にチェックしてもらいましょう。
すでにフォーマットがある企業が大半ですが、数十年前の雛形をそのまま使い若手に伝わらないケースも増えつつあります。フォーマットがあってもアップデートが必要なことも覚えておいてください。
●NG例
・訪問した社名のみでは報告不足になる場合も。担当者名、部署名もあると良い
・「パンフレットを見せてご説明した」という記載は当たり前なので省略して良い。それよりも、契約に至ったか否かの記載がないことが問題
・「新規の話が出なかった」では進捗状況が不明のため報告の意味をなしていない。受注の見込みがあるのか、売掛段階なのか、契約が完了したかなどを書く
●OK例
・時間、場所、担当者、内容が完結にわかるよう表にまとめる
・ワンセンテンスが短めで、主語と述語がわかりやすくダイジェストとして簡潔にまとまっている良例。「次回訪問時までに」と、契約に至らなかった対策案の記載もあるため上司も納得する
・「まだ新規受注のお話がない」と、マイナス面まできちんと入れ込む。事実を客観的に分析し、現状を変えようという意欲が伝わる
報告書を読む相手は上司です。上司は毎日、部下の人数分だけ報告書に目を通しています。簡潔でわかりやすい内容の記述を心がけましょう。とくに業務の進捗状況は必ず記載してください。
業務内容は曖昧な書き方をせず、事実がはっきりと伝わるように記載することがポイント。備考は顧客のニーズの忘備録ともなるので、具体的に記述しておくとのちの資料になります。
所感とは「心に感じた事柄や感想」という意味です。この報告書ではB社に定期訪問しているようですが、気づいた点や懸念点などの、プラスアルファの情報も記入しましょう。業務内容の多くはメールや電話で済ませられる時代ですが、直接見て肌で感じて情報を得ることが訪問するメリットであり、目的でもあるからです。
込み入った用件を伝えるときは、箇条書きにするなどの工夫も必要です。語尾は「ですます調」ではなく「三人称(である調)」で統一。成果と課題を簡潔にまとめて伝えましょう。
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更新:11月25日 00:05