2017年10月14日 公開
2023年03月23日 更新
写真:photolibrary
コーチングのプロである池田貴将氏の編著書『図解モチベーション大百科』が話題になっている。この本は、行動経済学、実験心理学を扱った国内外の文献から、人の心理。行動に関する実験とその結果を抜粋し、池田氏が解説を加えた構成だ。ここではその中から、「なんとなく気分が乗らないとき」「部下のやる気を引き出したいとき」など、モチベーションアップを図りたい7つの場面について、実験とそれに基づくモチベーションアップ法を紹介しよう。〈取材・構成=西澤まどか〉
やる気が出ない、気が乗らないときにまず、お勧めしたいモチベーションアップ法は、「自問式セルフトーク」です。ある実験で、簡単なゲームをする前に2つの行為をしてもらいました。Aチームには、「私はやる」と自分に言い聞かせる。Bチームには「自分はやるつもりがあるの?」と問いかけてみてもらいました。すると、Bチームの方が、Aチームに比べて50%も多く問題を解いたそうです。
人は、命令されるのが嫌いです。気分が乗らないときに「私はやる」と気合いを入れると、自分の中から否定する声が出てきてしまうのです。一方で、「やるつもりはあるの?」と聞くことで、何が「行動をさまたげる」ネックとなっているか見えてきます。
たとえば、会社に行きたくないとき。「着替えるつもりはあるの?」「朝食を食べるつもりはあるの?」と、一つひとつ自分のなかで問いかけると、どこに気乗りしないポイントがあるかが見えてきます。行動につながるヒントになるはずです。
「やるつもりはある?」と自分に問いかけよう
チームの生産性を上げるには、みんなを良い気分にさせることです。ある3人の医師にこんな実験をしてもらいました。患者の診断をする前に、医師Aには事前に何も与えず、医師Bには医療関係の記事を読んでもらい、医師Cにはキャンディをあげました。すると、医師Cは他の2人よりも速く正確に診断したそうです。ほんのちょっとしたことでも、ごほうびは仕事に好ましい影響を与えるということなのです。
「ごほうび」はもちろん、「褒める」「朗報を伝える」「変化に気づき指摘する」などで、相手に良い気分になってもらいましょう。
ごほうびでやる気を高めよう
2つのチームに経営上の課題を与えました。Aチームは「マネジメント能力は、その人に帰属する」と考えている人たち、Bチームは「マネジメント能力はいつでも伸ばすことができる」と考えている人たちです。 その結果、Aチームは足の引っ張り合いばかり。Bチームは、反論されてもストレスを感じずに率直に意見を言い合うことができました。
自分が「成長できる」と考える人は、「周囲も成長できる」と信じ、経験・年齢を問わず幅広い意見を集め、成果が出しやすくなるのです。「自分は成長できる」「今からでも遅くない」と信じることで、意欲を高め、成果につなげましょう。
「自分はできる」と信じよう
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更新:11月22日 00:05