2017年09月07日 公開
2022年12月19日 更新
激戦のビール系飲料でシェアナンバーワンを維持し、積極的なM&Aで事業規模を拡大し続けるアサヒグループホールディングスで、社長時代にはグローバル展開を進めるなど攻めの経営に成功してきた会長兼CEOの泉谷直木氏。自身と組織のモチベーション管理術についてうかがった。
※本稿は、『THE21』2017年10月号特別企画 [「やる気」を自在に引き出す20のコツ]より、内容を一部抜粋・編集したものです。
<取材・構成=塚田有香、写真撮影=まるやゆういち>
2016年に過去最大規模のM&Aとなる欧州ビール事業の買収を発表するなど、積極的な攻めの経営を続けるアサヒグループホールディングス。このチャレンジ精神あふれる組織を率いるのが、代表取締役会長の泉谷直木氏だ。
常に前向きで意欲的なビジネスを展開するために、経営トップとして、そして一人のビジネスマンとして、どのようにモチベーションを管理してきたのだろうか。
「実を言うと、私はモチベーションについてそれほど悩んだことはありません。なぜなら長年仕事をする中で、私なりにいくつかのセルフコントロール術を身につけてきたからです。
その1つ目は、仕事も人生も楽しむ姿勢を持つことです。私にとって仕事の何が楽しいかと言えば、知らないことが増えること。どこへ行っても、誰と会っても、『世の中にはそんなことがあるのか』『こんなに素晴らしい人がいるのか』という発見や気づきがある。これほど楽しいことはありません。
管理職世代になると『知らないことは恥ずかしい』と考える人が増えますが、私はそうは思わない。いくつになっても、『知らないことを知る』という体験は自分を成長させてくれます。
2つ目は、『自分はできる』と信じることです。40代くらいになると、『自分の力はこんなものだろう』と決めつけがちです。しかし40代は、長い人生から見ればまだまだ成長の途中。『自分はできる』と信じてチャレンジすれば、できることは確実に増えるし、より大きな目標に挑もうとするモチベーションも生まれます」
続いて挙げたのが、モチベーションが上がらないときに気持ちをうまく切り替えるコツだ。
「モチベーション管理術の3つ目は、常に複数の課題を抱えること。そう言うと、『ただでさえ忙しいのに、やるべき課題をいくつも抱えたらもっと大変になる』と思うかもしれません。
しかし複数の課題があれば、どこかの時点で別の課題に乗り換えられます。たとえ1つの課題がうまくいかなくても、もう1つの課題に手を着けてみれば、そちらはうまくいくかもしれない。すると元の課題に戻った時も、前向きに取り組めます。
4つ目は「常に積極的なもう1人の自分」が隣にいると思うこと。悩んだときも、自分の横にものすごく元気なもう1人の泉谷直木がいて、『何を悩んでんねん!』と言ってくれる。そういう存在と対話すれば、こちらの自分が落ち込んでいても、もう一人の自分がモチベーションを引き上げてくれるわけです」
更新:11月22日 00:05