2017年08月16日 公開
2023年03月23日 更新
孫社長は、なぜそれほどまで数字にこだわるのか。
それは、数値化することのメリットを、誰よりも知っているからです。
数値化する大きなメリットの一つは、「目標達成までに何をすべきか」という具体的なアクションが見えてくることです。
これは皆さんも、経験から何となく理解しているのではないでしょうか。
例えば「体重を減らしたい」と思っているだけでは、たいていダイエットは始められません。では、数値化するとどうでしょうか。
「3カ月後までに、6キロやせる」
こうして数字に置き換えると、「1カ月ごとに2キロ、1週間ごとに500グラム減らせばいい」と即座にわかります。すると、「1週間で500グラムなら、夕食の量を少し控えるだけで達成できそうだ」などと、〝やるべきこと〞が具体化します。
こうして「次にとるべき具体的な行動」がわかれば、人は目標へ向かってスタートを切りやすくなります。
つまり、数値化することで、初めて人は動き出せるのです。
同時に、数値化にはモチベーションを高める効果もあります。
ダイエット中も、毎日体重を測定して記録するだけで、「目標まであと3キロだから頑張ろう!」と思えるもの。数値化すれば、ゴールまでの達成度や自分が努力した結果が目に見えてわかるので、さらにやる気がアップします。
仕事やビジネスの問題解決においても、数値化は同様の効果を発揮します。
問題を数値化すれば、次にとるべきアクションが具体化し、解決に向けて動き出せます。
問題を数字に置き換えれば、現状を正しく把握し、問題の根本的な要因を明確にできるからです。
一見すると何が何やらわからないほどの大混乱に思える状況も、数値化すればその正体を明らかにし、必ず解決の道筋を見出すことができます。
ある企業の営業部では、売上がまったく伸びず悩んでいました。
アポを取るために人手を増やし、必死に電話をかけまくり、営業マンたちは夜遅くまで残業して外をかけ回りましたが、事態は好転しません。
相談を受けた私は、問題を数値化することにしました。
全体の売上や受注件数だけでなく、「新規顧客獲得数」や「受注継続率」の数字を出し、さらにこれらの数字を「エリア別」や「業種別」でも調べるよう指示したのです。
その結果、わかったのは次の2点でした。
・新規顧客の獲得数は伸びているが、2回目以降の受注継続率が低い
・美容業界の継続率が断トツで高く、その他の業界は総じて低い
これにより「現状」が正確に把握されたと同時に、「根本的な問題の要因」も明らかになりました。
問題の要因は、「せっかく獲得した新規顧客の多くに契約をすぐ打ち切られてしまうこと」と「受注を継続する見込みのない相手にまで営業をかけていること」にあるのは明らかです。
ここまでわかれば、次にやるべきこともわかります。
答えは「美容業界への営業に集中する」です。
そこで営業担当者たちは、手当たり次第に電話をかけるのをやめ、見込みリストの中から美容業界だけに絞って営業をかけました。
すると新規顧客の大半がそれ以降も契約を継続してくれたため、累積の受注件数も順調に伸びて、全体の売上もアップしたのです。
更新:11月22日 00:05