2017年07月07日 公開
2017年08月10日 更新
西アフリカでよく見かけるタイプの漁船。
ナイジェリアとの国境に近い、海沿いの村。
干上がった浜の上を、内海から外海へ、一艘の船が引きずられています。
船は全長10メートル、移動する距離は50メートル少々。
船の下に丸太を敷き、船に繋いだ2本のロープで引っ張る算段です。
かき集められた労働力は、50人ほど。
どこからともなく号令がかかり、一斉に綱引きが始まりました。
「せーのっ! わっしょいっ!」(意訳です)
船はわずかに動いたものの、すぐにスタック。
勇ましい掛け声が続きましたが、だんだんとフェードアウトし、綱引きは終了。
再度、どこからともなく掛け声があがり、綱引き開始。
そしてもう一回。
屈強な野郎どもが誰ひとりサボることなく、全力で綱を引っ張っていますが、結果は芳しくありません。
これが日本人なら、根拠のない文殊の知恵が錯綜し、四分五裂しながらも原因究明にあたり、自分が正しいと信じて疑わない全員がカイゼンに努めるところです。
ところが、王様が懸念したとおりのベナン人。
いつまでも同じことを繰り返す根気はあるものの、団結する気のない共同作業なのです。
原因は、リーダーの不在。
音頭取りがいません。
指揮者のいない掛け声は、威勢だけ。リズム感に欠けます。
総力を結集した、全力投球の分散。
動かないはずです、船。
2度3度と船の下の丸太が外れ、船が砂に直接乗り上げましたが、それすらお構いなしです。というか、報連相がないから、誰も気づきません。
磐石とも言える、不揃いの団結力。
船頭ゼロで、船は山にすら向かわず。
王様の名言が胸にしみる、炎天下です。
ベナンとよく似た国名に、ベニンがあります。
かつてナイジェリアに栄えた王国ですが、こちらの国旗も壮絶です。
人を殺すゆるキャラ。
こちらからご覧ください。
頰の傷は、部族の証です。
更新:11月23日 00:05