2017年07月12日 公開
2024年10月31日 更新
体の弱い人が「明日から風邪をひかない体質になろう」としても、急には無理な話です。こういう場合、長期的には体質改善を目指しつつも、「風邪をひきそうだから、今日は早く寝よう」といった短期の対処をすることが肝要です。長期目標と短期の対処を混同してはいけません。
メンタルについても同様で、いきなり「ストレスに負けない心を作る」と構えず、まずは小さな対処法を覚えましょう。
ポイントは、理性と感情を分けて扱うこと。
「あの上司の命令、やらなきゃいけないのはわかるけれど、むかつく」「たしかに言っていることは正しいけれど、あの言い方はない」など、負の感情をきちんと認めるのです。
これを、「上司からの命令だからやるしかない」「自分がダメだからきつく言われて当然」と抑え込むから、つらくなるのです。
実は、残業を言い渡された部下のうち、「えー、今からですか?」と文句を言いながらやる人は比較的強い。「わかりました」と素直に従う人のほうが、辞めてしまいがちです。
日本人は、「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫です」と答える訓練しかしていません。とくに男性は弱みを見せるのが苦手で、察してくれることを期待しがち。しかし、ダイバーシティが進み、性別や国籍、文化の違う人と一緒に働く時代には、自分から「つらい」と言えなくてはなりません。
そのうえで、いざというときのために、「逃げる」というオプションを持ちましょう。背負うものがあっても、逃げるのです。
逃げてばかりでは成長できませんが、「最悪、逃げればいいか」と思えることが大事。今いるところにいたらつぶれると思ったら、休むなり転職なりを考えてほしいと思います。
《『THE21』2017年7月号より》
更新:11月25日 00:05