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片づけのコツは「ムリをしない」こと!

2017年08月29日 公開
2023年03月23日 更新

髙原真由美(日本ライフオーガナイザー協会代表理事)

まずは「使用頻度」でモノを整理してみよう

次に、情報以外のモノの整理についてもお話ししましょう。近年は固定席ではなくフリーアドレスを採用する企業が増えつつあります。社員が個々に机を持たないオフィスで働く場合は、書類などの「情報」以外の文房具等、「モノ」を必然的に減らすことを迫られているはずです。

「モノ」を減らす際の基準は、まずなんといっても「使うか、使わないか」という使用頻度です。ここでは、自分が業務で必要とするモノを「選び取る力」が問われると言えるでしょう。モノの一つひとつと向き合い、本当に必要かどうか、使っているかどうかを考え、使わないモノは処分します。

このとき、よく言われるのが、「ボールペンを何種類も持つなど、同じ用途の文具を複数所持するのはムダ」ということです。しかし、本当にそうでしょうか。

私自身もそうですが、ペンなどは「普段使いはこれ」「宛名を書くならこれ」と、用途に応じて使い分ける場合もあると思います。そういうときは無理して1本に絞らず、複数本持参しても問題はないと考えます。杓子定規に「1種類につき1つ」とするのではなく、あくまでも本当に必要なモノを残すという感覚で良いのです。

 

「思い入れのあるモノ」を残しても良い理由

また、モノを減らすときには「使うか、使わないか」という基準の他にもう一つ、「持っていたいかどうか」という判断基準を取り入れると良いと思います。

「持っていたいかどうか」がなぜ大事なのか、具体例を挙げて説明しましょう。以前、ある企業が移転を機にフリーアドレス制に変えることになり、「片づけ」のプロデュースを担当させていただいたことがあります。それまで個人の引き出しにたくさんのモノを詰め込んでいた社員のみなさんは、小さなロッカーひとつに収まる量まで荷物を減らさねばならなくなりました。ロッカーに残すモノについては、規定に沿っていれば中身は問わない方針だったので、社員一人ひとりが判断する必要がありました。そこで、残すかどうか迷ったアイテムはそのモノに対する「思い入れ」と「感情」を優先して分類したのです。

たとえば、ある若手男性社員は、好きなキャラクターのぬいぐるみを個人ロッカーに残すと決めました。帰宅前にロッカー内でぬいぐるみを見るだけで、疲れが癒され、仕事の達成感を覚えるから。他にも、「仕事中にお菓子を食べるとモチベーションが上がるから」と、お菓子を残した女性社員もいました。

このように、他者からは一見不要と思われるアイテムであっても、本人には「これがないと仕事への意欲がわかない」といったモノは、誰しもあるものです。仕事とは直接関係していないかもしれませんが、それがあることによって仕事の効率やモチベーションが上がり、結果パフォーマンスも高くなるようなモノであれば、無駄として切り捨てるべきではないのです。

また、そうした大切なモノだからこそ、ごちゃごちゃと不要なモノの中に埋もれさせずに整理しておこうという気持ちにもなるのではないでしょうか。

 

片づけを継続するコツは「無理をしない」こと

このようにお伝えすると、「仕事に関係ないモノでも、残しておいてもいいなんて」と驚かれますが、片づけの目的はあくまで、自分にとって快適な環境を作り、仕事の効率をアップすること。「片づける」と決意した直後、大半の方は頑張りすぎる傾向がありますが、あまり厳しいルールを課すと、実行できなかったときにかえってストレスを抱えることになります。

それでも片づけるのが苦手でモノを溜めてしまいがちな人もいるでしょう。そんな人は、月に一度程度でいいので「環境を整える日」を設定して、その日に書類やモノを見直す習慣を持ちましょう。逆に、その日以外は片づけなくてもいいと決めてしまうのです。このような無理をしない方法こそ、整理された状態を保つ秘訣です。

 

《『THE21』2017年8月号より》

著者紹介

髙原真由美(たかはら・まゆみ)

(一社)日本ライフオーガナイザー協会代表理事

1969年、徳島県生まれ。大阪府在住。髙島屋で12年間、インテリアコーディネーターとして住宅・オフィス合わせて600件以上の物件を手がける中で、アメリカの整理のプロ、オーガナイザーという職業に出会い、その技術と知識の普及を目的に2008年に日本ライフオーガナイザー協会を設立。より楽しく、有意義な人生を生きられる人を増やすための専門的な人材の育成と普及活動を行なう。著書に、『利き脳片づけ術』(小学館)、『徹底図解 成果が必ず出る!ビジネス整理術』(日本文芸社)などがある。

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