2017年05月24日 公開
2023年04月06日 更新
「人生のターニングポイントは40代だった」という人は多い。だからこそ、この時期に「あれもやっておけばよかった」と後悔する人も後を絶たない。月刊「THE21」では50代以降のビジネスマンへのアンケートや識者へのインタビューから、こうした人たちがどんな後悔をしているかを調査した。その結果、大きく3つのポイントがあることがわかった。
「伸び悩みに対する後悔」。この世代はまさにビジネスマンとして脂の乗った時期。だからといって日々の仕事に流されるままでは、時代の変化についていけず、気づいたら「昔の人」扱いされることも。「もっと新しいことを学んでおけばよかった」という後悔をする人が後を絶たないのだ。
もう一つは、「キャリアに関する後悔」。40代は新しいことに踏み出す最後のチャンスと言える。転職をする・しないだけでなく、新たな事業を立ち上げたり、新規ビジネスに挑んでみたりといったことも、気力・体力ともに充実したこの時期にこそやるべきもの。だが、何もしないままに時が過ぎてしまった、ということに対する後悔だ。
最後に、「プライベートの後悔」。家庭を大事にしておけばよかった。お金をもう少し貯めておけばよかった。こうした後悔は、定年を迎える頃になって急に現実味を帯びてくるものだ。
では、これらの後悔をしないためにはどうしたらいいのか。
ここでは多くの識者から学んだ「40代を後悔しないための10の方法」を紹介する。
これからの自分を考える際、まずやってみていただきたいのが、「スキルの棚卸し」だ。自分にはどんな能力があり、それは社外でも活用できるものかどうかを見直してみるというもの。自分は今、どの能力を伸ばすべきで、どの能力を新たに獲得すべきかが見えてくるだろう。転職する・しないは別にして、社外で活躍する自分を思い描いてみるのがポイントだ。
40代は仕事に慣れているぶん、どうしてもマンネリ気味になりがちだ。だが、それでは成長は望めない。あえて今の立場を捨ててでも「新しい仕事」を手がけてほしい。社内の新しいプロジェクトに手を挙げて参加をする。あるいは自ら異動希望を出してもいいだろう。また、意に沿わない異動や左遷も、この視点からは「チャンス」ととらえることができる。
年金が期待できない時代。60歳どころか、70歳を過ぎても働き続ける可能性は十分に考えられる。では、今の自分が身につけているスキル、あるいは持っている資格は、定年間際、あるいは定年後にも役立つものか。その視点で自分を見直してみよう。もしその確信が持てないなら、今後も有望かつ自分が興味の持てそうなスキルや資格を探してみよう。
より広い視野を得るためにも、あるいはキャリアの可能性を広げるためにも、「社外人脈を広げること」の重要性は、多くの識者が共通して指摘していることだ。そのためにはまず「人と会うクセをつける」こと。たとえば「週に一人は会ったことのない社外の人に会う」などと目標を決めると取り組みやすいはずだ。いつも同じ面子とばかり飲みに行っている人は、たまには初めての人と飲みに行ってみては?
自分でやったほうが速いからと、すべての仕事を抱え込んでしまってはいずれパンクする。一度、自分の仕事をすべてリストアップしたうえで「人に任せることができないか」を考え直してみよう。その際、「簡単な仕事だけ任せよう」と考えがちだが、それでは結局、自分の仕事量はほとんど減らない。いっそ「仕事の半分は任せる」くらいの意識で見直すと、より大胆な委譲ができるだろう。
まずはムダな残業を減らさないことには、新たな能力を磨く時間も、プライベートを充実させる時間も得られない。とはいえ、漠然と「残業削減」といっても取り組みにくい。そこでまずは「週に1日は必ず定時で帰る」ことを目標にしてはどうだろう。「毎週水曜日は残業しない」などと曜日を決めておけば、予定も組みやすいだろう。そのうえで徐々に「ノー残業デー」を増やしていけばいい。
40代は何かと大変な時期。仕事でストレスが溜まるのはある意味仕方のないことだ。大事なのは、それに対処する自分なりの方法を持つこと。ポイントは「自覚」。「自分は運動をするとストレスが発散できる」「私はお風呂に入ると元気が出る」などと「自分に合ったストレス解消法」を見つけ出したうえで、無理のないタイミングでそれを実行することで、ストレスを「マネジメント」するのだ。
今や、会社の言いなりになっていれば昇給や出世が保証される時代ではない。「あんなに会社に尽くしたのに」と後悔してからでは遅い。「言うべきことは言う」姿勢が、自分のためにもチームや会社のためにもなる。そしてそれは、中間管理職の責務でもある。「会社なんてそんなものさ」と妙に達観せず、会社やトップに言うべきことを言う40代が求められているのだ。
今はなかなか趣味の時間を取れない人も、「時間ができたらやってみたい」というものはあるのではないだろうか。ならば一度、それをすべて紙に書き出してみよう。書き出すだけでもワクワクしてくるものだし、「これだったら始められるかも」というものが一つは見つかるだろう。まずはその入門書を買うなりして、第一歩を踏み出そう。学生時代に好きだったものを再開してみるのもいい方法だ。
自分のライフプランをどうするかは、自分だけの問題ではない。とくに配偶者や両親、場合によっては子供とも、「自分が考えていること」はもちろん、「相手が望むこと」もしっかり話し合っておきたい。その結果、休日の一部を資格取得の勉強に当てることへの理解が得られたり、逆に家族のためにどのくらいの時間を使うべきか気づくこともできるだろう。プライベートの充実は仕事の充実とも密接に関わっている。
これらすべてにおいて共通するメッセージの一つは「人生を会社(仕事)だけで終わらせてはならない」ということだろう。「滅私奉公」の時代は終わったにもかかわらず、いまだ「会社第一」「仕事第一」の人は多い。
だが、そうして勤め上げたビジネスマンたちが、定年後にやることがなくて途方に暮れるというケースは多い。ただでさえ今の定年世代のような退職金や年金が期待できない以上、早め早めの対策はなおさら不可欠だ。
人生80年と考えると、40歳はまだ折り返し地点。かつては「不惑」と言われた40歳を過ぎても、これほど多くの人が悩んでいるのは、高齢化が原因でもあるだろう。
ただ、別の見方をすれば、「可能性があるからこそ、悩む」ということだ。40年あればできることはたくさんある。だからこそ「40代というこの貴重な時間を後悔したくない」という意識も生まれてくる。そう考えて、悩み多き40代をポジティブに過ごしていただきたい。
(2016年10月号より)
更新:11月22日 00:05