2017年04月24日 公開
2023年04月06日 更新
「私をわかってほしい」欲求が話を長くする
話題のほぼすべてが「私は」「僕は」と、自分を主語にした内容で、相手の話もいつの間にか自分の話にすり替えて話し始めてしまう。しかも、グチや悪口や自慢話などが多いのも特徴。
自分以外に話をさせないため、相手は退屈したり、聞き役に回らざるを得なくなり、不快指数は上昇。次第に敬遠されて、話し相手が一人ひとり減っていくとなると、人間関係上のデメリットは甚大だ。
このような「話の止まらないタイプ」の背後には、「認められたい欲求」がある、と両氏は語る。
「ひと言で言うと『わかってほしい』という気持ちですね。もっと評価してほしい、称賛してほしい、もしくは同情してほしい。それを満たそうとして、話が長くなるのです」(森下氏)
「このような承認欲求が強すぎるタイプは、裏を返せば『認められていないという不満をいつも抱えている』ということです。『こんなに頑張っているのに、誰もわかってくれない』という思いが募ってグチが多くなり、共感してほしくて『3日も徹夜しちゃったんだよ』などの自慢話をつい続けてしまうのです」(西任氏)
さらに問題なのは、そんな自分の問題に本人が気づきにくい、ということだ。
「不満で心がいっぱいなので、『もしかして、自分ばかり話している?』と気づく余裕がなくなっています。かといって『君の話、長いよ』などと指摘されると傷つきますよね。本当は、指摘してくれる相手は貴重な存在なのですが」(西任氏)
「人は、心の奥底に不満があることになかなか気づけないものです。そこに気づき、『長々と話してもそれは解決せず、むしろ逆効果だ』と心得ることが改善につながるでしょう」(森下氏)
「あなたはどう?」と問いかける習慣を
話し出すと止まらない人がまず実践すべきは、相手を観察することだ。
「相手は必ず、退屈のサインを出しています。目をそらしていたり、あいづちがおざなりだったりしたら、すぐに相手に話を振りましょう。『あなたのところはどう?』『あなたならどうする?』など、相手を主語にすると質問しやすいでしょう。この『あなたは?』を徹底的に習慣化することです」(西任氏)
これにより周囲との関係が改善されれば、結果として内心の不満も軽減していく。
それでも不満が消えない場合は、問題を解決しうる相手に、気持ちを正直に話すのも1つの方法だ。
「正当に評価されていないと思うなら、上司に『認めていただけていない気がします』と告げてみましょう。ただしグチではなく、『どうすれば認めていただけますか』と、建設的な方向で話すこと。
人間には元来『人を助けたい』という気持ちが備わっていますから、真剣な問いかけに対しては、誠意を込めて助言してくれるでしょう」(森下氏)
【6タイプ別「損する話し方」克服ガイド<後編>へ続く】
≪取材・構成:林 加愛≫
≪『THE21』2017年4月号より≫
西任暁子(にしと・あきこ)
U.B.U.[株]代表取締役
大阪府生まれ。慶應義塾大学在学中よりFMラジオのDJとして活躍し、話し手・聞き手の両方の立場から「わかりやすく伝える方法」の探求を重ねてきた。2012年、U.B.U.㈱を設立。現在は、スピーチやファシリテーション、コミュニケーションを軸に企業の人材育成に従事。著書に、『本音に気づく会話術』(ポプラ社)など多数。
森下裕道(もりした・ひろみち)
[株]スマイルモチベーション代表取締役/パーソナルモチベーター
接客・営業コンサルタント。大学卒業後、㈱ナムコへ入社し、異例の速さで店長に抜擢。独自の接客法で多くの不採算店舗を立て直す。現在は、接客、営業、人材育成、人間関係のコミュニケーションの観点からコンサルティングや講演活動を行なう。著書に、『人前であがらずに話す技法』(大和書房)など多数。
更新:11月22日 00:05