2017年03月21日 公開
2024年12月16日 更新
呼吸だけに注意を向けようとしても、その集中は必ず途切れます。そして、雑念がわいてきます。
そこで、「雑念がわいてしまってダメだ」と思う必要はありません。善悪の価値判断を手放しましょう。「雑念がわいた」ということに気づき、あるがまま受け入れます。
そして、雑念がわいたことに気づいたら、すぐに注意を呼吸に戻す。「気づいたら戻す」ということを繰り返すことで、筋トレをするように、集中力が鍛えられます。
「呼吸に注意を向ける」「雑念がわいたことに気づく」「雑念を手放し、再び呼吸に注意を向ける」というそれぞれのプロセスごとに、脳の中の違った部位の血流が増えることがわかっています。また、マインドフルネス瞑想をすることによって、不安を感じる脳の部位である偏桃体が縮小するという報告もあります。つまり、マインドフルネス瞑想は、脳の構造を変化させるのです。
脳の構造が変わることで、ストレスを感じること自体が減っていきます。
ストレスの原因のほとんどは、まだ起こってない未来に対する不安や、すでに終わったことへの後悔などが自然にわいてくること。そして、それに気づかずに巻きこまれていることです。
マインドフルネス瞑想をすれば、そうした思考や感情に気づくことができるようになります。気づくことで、思考や感情と距離ができ、巻きこまれなくなるので、ストレスを感じなくなるわけです。
なお、呼吸法では呼吸をコントロールしますが、マインドフルネス瞑想では、呼吸をコントロールしません。マインドフルネスでは、「呼吸の質」ではなく、「注意の質」を大切にします。息を吸ってお腹が膨らむときには、その膨らむ感覚に気づき、息を吐いてお腹が縮んでいるときには、その縮んでいる感覚に気づくようにします。瞬間瞬間の呼吸の感覚に意識を向け続けることで、「注意力」が養われ、集中力が持続するようになります。
呼吸の感覚に慣れてきたら、注意の対象を変えていってみましょう。歩きながら足の裏の感覚に意識を向けることもマインドフルネス瞑想の練習になりますし、食事をしながら味や食べ物の感触に意識を向けることでも、耳を澄まして音に意識を向けることでも行なうことができます。
このように、日常のさまざまな場面で行なうマインドフルネス瞑想は、「広めるトレーニング」と言えます。きちんと時間を取って静かな環境で行なう「深めるトレーニング」に加え、日常生活のさまざまな場面に取り入れることで、より効果を感じることができると思います。
更新:01月19日 00:05