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人気アナウンサーの「初対面でも失敗しない」質問力

2017年04月19日 公開

佐々木明子(テレビ東京アナウンサー)

会話は「準備」で9割決まる!

朝の経済ニュースを伝える、テレビ東京系列の『Newsモーニングサテライト』。キャスターを務める佐々木明子さんは、アナウンサー歴25年のベテランである。そんな佐々木さんも、日々表現を磨くために勉強し続けているそうだ。表現力・質問力の磨き方、人前で話すときのアドバイスなどについてうかがった。《取材・構成=村上敬、写真撮影=永井浩》

 

数々の失敗から学んだ「ノート」の重要性

テレビ東京の人気アナウンサー・佐々木明子さんは、まさに話すプロフェッショナル。しかし、アナウンサー生活25年目を迎えた今でも、本人は話すスキルに満足していないという。

「毎朝、報道番組をやっていますが、うまく話せたと心から思えるのは年に一回あるかどうかです。ああ言えばよかった、こう言えばよかったと、毎日放送後には自分の発言を振り返っています。
直近では、昨年の米大統領選。アメリカのメディアは、トランプかクリントンか、支持する候補を明確にしたうえで報道しています。それを説明しようとしたときに、私は『アメリカの新聞はどちらが好きかを明確にして』と言ってしまいました。視聴者の方から、『好きと支持は違う』とご指摘を受けました。
表現を間違えて冷や汗をかいた経験は他にもあります。歌番組でコミックソングの特集をしたとき、高見沢俊彦さんに『心に残るコミックソングはありますか』と尋ねました。すると、『ええっ? コミックソングって心に残るものじゃあないよねえ!』と笑いながら突っ込まれました。たしかに笑いを取る滑稽なコミックソングに『心に残る』という表現はふさわしくありません。『記憶に残る』、あるいは『印象に残る』と表現するべきですね」

このように、言葉一つとっても注意を払う必要があるのがアナウンサーの仕事だ。佐々木さんは日々、表現力を高めるために、ノートを活用している。

「間違えた表現はすべてノートに記録して、時折読み返しています。また、新聞を読んだりテレビ番組を見たりして、良い言い回しだなと思ったものも書き留めています。たとえば、スポーツ新聞で見つけた『乗り越えなくてはいけない壁がある』というフレーズ。これは日本経済について話すときに使えるな、とか、『株式市場、大統領選前に尻込み』といった新聞の見出しなども絶妙にニュアンスが伝わってきて参考になるな、と。
ノートに書く習慣は昔からですが、とくに意識して活用するようになったのはニューヨーク支局に赴任してから。アナウンサーは渡された原稿を正確に読むことがまず基本ですが、支局では自分で原稿を書き、スタジオでもゲストとフリートークをする場面もありました。自分の言葉で表現する必要が出てきたため、ノートを以前にも増して活用するようになりました」

 

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言葉を交わす前に会話は始まっている >

著者紹介

佐々木明子(ささき・あきこ)

テレビ東京アナウンサー

1969年、東京都生まれ。学習院大学文学部英米文学科卒業。92年、テレビ東京にアナウンサーとして入社。スポーツ担当等を経て、2006年 ~09年にはニューヨーク支局に勤務。14年より、『Newsモーニングサテライト』メインキャスターを務める。利き酒・野菜ソムリエの資格を有する。

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