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「心が折れる職場」は なぜ生まれるのか?

2017年02月10日 公開
2017年02月10日 更新

見波利幸(日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事)

必要なのは、4種類のサポートの「使い分け」

 そして、この問題に取り組むキーマンが、現場を第一線で支える中間管理職だ。したがって、中間管理職の意識改革も大きな課題である。

「部下を支えるとはどういうことなのか、上司は理解する必要があります。先ほども述べたように、単にコミュニケーション量を増やせば良いといった方法論だけでは不十分。部下の将来に対する本人の気持ちを尊重しつつ、成長をどうサポートできるのか──その質が問われます」

 上司が部下に提供すべきサポートは四種類あるという。適切なアドバイスや助言を与える「情報的なサポート」、部下の気持ちを理解する「情緒的なサポート」、実際に手助けする「道具的なサポート」、部下の仕事をきちんと評価する「評価的なサポート」である。しかし、「上司は基本的に自分が得意なサポートばかりしがち」と見波氏は問題点を指摘する。

「たとえばコンサルテーションが得意な上司は、部下からの相談に『そのときあなたはどうした?お客さんは?』などと情報収集して、『じゃあ、こうしなさい』と指示を出すだけ。心身ともに疲弊した部下をさらに追い詰めることもあります。それよりも、部下の気持ちに寄り添って、『あなたの苦労を理解していますよ』と伝えたり、上司が手を貸したりすることが必要かもしれません。部下にはどんなサポートが必要かを吟味して、四種類のサポートを組み合わせて提供していくことが重要です。上司は自分の行動をぜひ振り返ってみてください」

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著者紹介

見波 利幸(みなみ・としゆき)

〔一社〕日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピュータメーカーなどを経て、98年野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期より管理職向け1日研修を提唱するなど、日本のメンタルヘルス研修の草分け的存在。現在はエディフィストラーニング㈱(キヤノングループ)の主席研究員として、研修や講演、カウンセリングや職場復帰支援を行なう。著書に、『劣化するシニア社員』(日経プレミアシリーズ)など。

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