2017年02月10日 公開
2017年02月10日 更新
メンタル不調を理由に社員が休職や退職する職場が増えている。その背景には何があり、どのような特徴があるのか。現在話題の『心が折れる職場』の著者であり、職場のメンタルヘルス問題に詳しいプロカウンセラーである見波利幸氏にその理由をうかがうとともに、チーム全体の「心を整える」方法についてお話をうかがった。
広告代理店での過労自死問題に端を発し、社会問題化されつつある職場のメンタルヘルス。だが、「メディアで報道されている事件はほんの一部。メンタル不調を原因とした事件は水面下で頻発している」と指摘するのは、『心が折れる職場』の著者・見波利幸氏。では、どのような職場でメンタル不調は起きやすいのだろうか。
「著書『心が折れやすい職場』では、挨拶や報連相、職場での雑談や飲み会の有無などのケーススタディが多く紹介されているため、『コミュニケーションの欠如がメンタル不調を生み出す原因』と思うかもしれませんが、コミュニケーションが一番の問題ではないと私は思っています。
コミュニケーションが上手く取れているかどうかは、『どう人と関わるか』という問題が根底にあります。相手を尊重したり、相手の気持ちを大切にしようと思う人は、コミュニケーションスキルが不足していても良好な人間関係が保てます。反対に、相手を尊重する気持ちもなく、コミュニケーションの量を増やしても意味がありません。目の前の人とどう関わっていくのか──これが、これからの時代は大切になると思います」
では、メンタル不調者を出さないためにはどうすればいいのか。まず、メンタル不調には前兆があるので、上司はその「サイン」を見逃さないことが肝心だ。その1つが、「急に太り始めた」というもの。一般的には、食欲旺盛ならメンタル的には問題ないと思いがちだが、「深刻な状況の一歩手前かもしれない」と見波氏は警告する。
「ストレスを受けると、暴飲暴食で発散しようとします。そのため、体重が増加するのですが、ストレスが改善されなければ、症状が悪化してうつ症状になり、本格的な食欲不振に陥ります。体重の急増はメンタル不調に至る過程であり、体重が激減したときは、すでにどん底なのです」
もう1つのサインとして、「遅刻や欠勤」を挙げる。
「ストレスが原因で入眠困難になることがあります。布団に入って30分、1時間経っても眠れないのです。睡眠とうつは相関がありますから、睡眠が不足すると、意欲が低下して、何もする気が起きなくなります。朝起きることができず、遅刻が多くなるのです。さらに悪化すると、欠勤として表われます。最初は週明けの月曜日や連休明けに休みがちになり、次第に平日も休むようになれば、メンタル不調が進んでいる状態です」
更新:11月22日 00:05