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社会人の勉強は、「暗記」しても身につかない!

2017年02月11日 公開
2022年12月15日 更新

小川仁志(哲学者/山口大学教授)

スキマ時間で思考し考えを書き出してみる

忙しいビジネスマンが勉強する場合、本を読むにも効率的に読む必要がある。そこで活用したいのが入門書である。

「哲学書でも、いきなり古典を読もうとすれば、1年はかかります。まずは入門書で予備知識を得てから古典に進めば、1カ月程度で読めるでしょう。二冊も読むのは効率が悪いと思うかもしれませんが、途中で挫折せず思考を深めるには、入門書から入るのがお勧めです」

また、学習時間の確保も課題だ。ただ、学生時代とは異なり、「15分でもスキマ時間があれば、どこでも勉強できるのが大人の勉強」だと小川氏は話す。

「ポケットに文庫本を入れておけば、移動時間や待ち時間を使って読むことができます。また、落ち着いて本が読めない環境でも、思考することはできます。思考とは、インプットしたものをいかにアウトプットするかを考えること。
つまり、本を読んで『あー、よかった』で終わらせず、本の内容を自分の中に落とし込み、日々の問題にどう応用するかを考えることです。これが、先に述べた五つ目の思考の『まとめる』であり、学んだことを定着させるためにもっとも大事なことです。満員電車の中でもできるので、ぜひ実践してみてください」

「まとめる」うえで習慣化したいのが、自分の考えを文章に書き出すことである。

「本を読んで学んだことを、直接本に書き込んだり、ノートに書き留めておきます。学生時代のように、きれいに書く必要はありません。ノートがなければ、パンフレットの余白や紙切れに書いて、それをスマホで撮っておくのもいいでしょう。
思考の成果を書き出すことで頭の整理ができ、記録として残るし、見返すことで定着します。学んだことを仕事や生活に役に立てることこそが大事なのです」

 

《『THE21』2017年2月号より》

著者紹介

小川仁志(おがわ・ひとし)

哲学者、山口大学准教授

1970年、京都府生まれ。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。哲学者・山口大学准教授。米プリンストン大学客員研究員(2011年度)。商社マン、フリーター、公務員を経た異色の哲学者。商店街で「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践している。専門は欧米の政治哲学。
著書に『市役所の小川さん、哲学者になる 転身力』(海竜社)、『人生が変わる哲学の教室』(中経出版)、『アメリカを動かす思想』(講談社現代新書)、『7日間で突然頭がよくなる本』(PHPエディタース・グループ)、『超訳「哲学用語」事典』(PHP文庫)などがある。

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