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今すぐ始めるべき「実家の整理」失敗しない5つの鉄則

2016年12月08日 公開
2023年05月16日 更新

渡部亜矢(実家片づけ整理協会代表理事)

「まだ早い」と思っていると絶対に後悔する!

 最近、「実家の整理」という言葉が話題に上る機会が多くなった。親が高齢になった働き盛りの世代にとって、避けては通れないこの問題。親が元気なうちに着手すべき理由や具体的なノウハウを専門家にうかがった。

 

30~40代にとって実家の整理は喫緊の課題

 実家が散らかり放題になり、高齢の親の生活を脅かすだけでなく、亡くなったあとの相続問題にも大きな影を落とす……。そんな問題が今、各地で起きています。今の30~40代にとっても他人事ではありません。この世代の親には持ち家の人が多く、いずれ子供が相続することになるからです。散らかり放題の家では、手続きを進めることができません。

 整理が面倒だからといって、相続後に空き家のまま放置すれば、誰も住んでいない家のために固定資産税を払い続けることになります。また、近隣の環境や景観に悪影響をおよぼすと判断され、自治体から「特定空き家」の勧告を受けると、最大で従来の6倍もの税負担を強いられることになります。

 また兄弟姉妹がいる場合は、「遺産分割協議」により、相続人全員の合意のもとで相続手続きを行ないますが、通帳や印鑑、権利書といった財産関係のものが実家のどこにあるのかわからなければ、親の資産の全体像が把握できず、話しあいもまとまりません。

 そんな事態に陥らないためにも、親が元気なうちから実家の整理に着手しましょう。

「親の家なのだから、整理も親に任せればいい」と思うかもしれません。しかし、親世代は戦中・戦後のモノ不足の時代を生きてきたので、モノは豊かさの象徴であるという価値観が根強く、基本的に「モノを捨てる」という発想がありません。また、高齢になると身体能力が低下し、掃除やゴミ出しが困難になって家の中が散らかったり、不要なモノを溜め込んだりする事例も目立ちます。「母はきれい好きだから」と安心していたら、久しぶりに帰った実家がゴミだらけになっていてびっくりする、ということも多いのです。

 

「自分のため」ではなく「親のため」に整理しよう

 ですから、実家の整理は親に任せず、子供から働きかけることが不可欠。ただし、重要なのは、あくまで主役は親だということです。「こんなモノを残されると、俺が困るんだよ」などと、子供側の都合を主張するのはNG。親を巻き込み、一緒に整理を進めていくには、親子で共有できるゴールを示すこと。親と子の双方にとっての心配や不安は、やはり親の病気や怪我、災害や犯罪などでしょう。ですから、「親が安心・安全・健康に暮らせる家」を共通のゴールにするのがいいと思います。

 高齢者の住まいが散らかっていると、安全面で大きな問題があります。床に置きっぱなしにしていたモノにつまずいて転倒し、骨折して寝たきりになるケースは非常に多く見られます。また、災害時にモノに阻まれて避難が遅れたり、重いモノの下敷きになったり、といった危険もあります。こうしたリスクを減らすためにも住まいの整理が重要であることを、親子で認識することが大切です。

 実家が整理できていないと、親の入院や介護に直面したときにも困ります。必要な書類や通院・病歴の記録がどこにあるかわからないというケースがよくあるからです。実家で介護することになったものの、どの部屋もモノであふれていて、介護用のベッドを置くスペースがない、という問題も起こります。

 皆さんも、「うちの親はまだ元気だから」と先延ばしせず、今から実家の整理をスタートしましょう。プレゼントをしたりするより、実家を一緒に整理することが一番の親孝行なのです。

 

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著者紹介

渡部亜矢(わたなべ・あや)

〔一社〕実家片づけ整理協会代表理事

1965年、神奈川県生まれ。銀行、出版社などを経て、2016年より〔一社〕実家片づけ整理協会代表理事。少子高齢化社会に特化した「実家片づけアドバイザー」育成講座や、親子で取り組む生前整理、空き家問題、物とお金の整理術、遺品整理などの講座を開講し、講師育成、出張片づけサービスなどを展開中。著書に『カツオが磯野家を片づける日』(SB新書)、『プロが教える実家の片づけ』(ダイヤモンド社)など。

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