2016年12月08日 公開
2023年05月16日 更新
実家の整理は、親にとって愛着がそれほどない場所から着手しましょう。とくに庭や廊下などは、「庭にモノが多いと防犯上よくないらしいから、片づけておこう」「夜中に安心してトイレに行けるように、廊下をきれいにしておこう」といった言い方をすれば、親も納得しやすいはずです。
子供としては通帳や貴重品のことが気になると思いますが、いきなり財産の話を持ち出すのはNG。親は「金が目当てなのか!」と腹を立てたり、落胆したりして、いくら整理を勧めても「放っておいてくれ」と意固地になる可能性があります。
整理をする際に最も大きな壁になるのが、「親が”捨てる/捨てない”を判断できない」ということ。親世代はモノを「捨てる」のに抵抗があるので、「要るモノと要らないモノに分けよう」という言い方をしましょう。そして、「要る/要らない」の判断に3秒以上迷ったモノは「一時保管箱」に入れます。それを親の目につきにくい場所に置いておけば、しばらくすると親も存在を忘れてしまうので、あとで処分しやすくなります。
実家の整理には、自分の家の整理とは違った段取りやルールが必要になります。下に「実家の片づけ・5つの鉄則」を紹介しますので、参考にしてください。
いったん整理したのに、半年ぶりに帰省したら、また実家がモノであふれていた……。こんなリバウンドを防ぐには、実家に足を運べない期間も、電話やメールでこまめに親とコミュニケーションを取ることが大切。ゴミの収集日を調べておき、「そういえば、今日はゴミ出した?」といった会話をすることで、ゴミの出し忘れや溜め込みを予防できます。
親の消費行動にも注意を払いましょう。高齢者が一人で買い物に行くと、不要なモノを購入したり、使わないのに同じモノを複数買ったりしがちです。会話の中でさり気なく「何かほしいものある?」と聞いて、「新しいお鍋を買おうかな」などといった答えが返ってきたら、「だったら、帰省したときに一緒に買いにいこう」と提案してください。
また、一人暮らしの高齢者は、いざというときの不安から大量に買い溜めをする人が多いので、「何か足りなくなったら、すぐに送るから」と言えば安心します。
将来に備えるには、モノの整理だけでなく、情報の整理も必要です。実家の名義はどうなっているのか。預貯金や保険、株式などはどの金融機関にどれくらい保有しているのか。これらの情報は親しか知らないので、本人に整理してもらうのが一番です。
ただし、前述のとおり、いきなり財産やお金のことを聞くのはNG。一緒に実家を整理しながら、さり気なく話題に出すようにしましょう。共通のゴールである「親の安心・安全」を切り口に、「防災用の持ち出し袋の中に貴重品のリストを入れておくと安心だよ」といった言い方をするのがコツ。あるいは、「郵便貯金を放っておくと、休眠口座になって引き出せなくなるかもしれないらしいよ」といった話題を持ち出して、「一度、通帳を整理してみたら?」と促すのもいいでしょう。
「この家は古くて使い勝手が悪いから、リフォームを考えてみない?」と相談し、親が興味を示したら、「リフォームするなら、予算はどれくらいかな?」といった聞き方でお金について確認する方法もあります。とはいえ、くれぐれも親の意志や気持ちを尊重することを忘れないでください。
《取材・構成:塚田有香》
《『THE21』2016年11月号より》
更新:11月24日 00:05