2016年10月05日 公開
2023年03月09日 更新
記憶に新しいところでは、武田薬品工業の事例がそうです。
海外企業からヘッドハントしたフランス人を最高財務責任者(CFO)として迎えたものの、2年も経たないうちにスイスの大手企業に引き抜かれてしまいました。1年目の役員報酬として何億円も支払ったにもかかわらず、2年目の再任を発表する予定だった株主総会の直前に辞任してしまったのです。
彼が退任を決意するに至った本当の事情はわかりません。
しかし、これだけ多額な報酬をもらってもなお、日本企業より海外企業を選択する何らかの理由があったということです。
どんなに優秀なトップを海外から招いても、周りの経営陣や社員たちと本気で変革を成し遂げようという姿勢を共有できないと判断すれば、優秀なトップもここは自分が働く場ではない、と思うでしょう。
表向きは指示に従う、としながら、実際には動いたふりをするだけの社員であったり、中身のない精神論を声高に言うばかりでイノベーティブな変化対応力を持たない幹部が目立つならどうでしょう。本当に何かをやり遂げたいと思っている人ほど、時間ばかりが無為に過ぎ去ってしまうと感じるのは当然だと思います。
そんな昭和的な幹部ばかりに囲まれた組織が「考える力」を取り戻さないままなら、日本企業のガラパゴス化はますます進むでしょう。
今のままでは世界の潮流から取り残され、やがて消え行く運命が待ち構えている。日本人はその事実から目を背けてはいけないのです。
更新:11月23日 00:05