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棚橋弘至の「全力」お悩み道場5~筋トレをするとモテる理由

2016年10月18日 公開
2023年05月16日 更新

棚橋弘至(プロレスラー)

仕事を溜めてしまいがち。どうすれば効率を上げられる?

Q2 大卒の社会人1年目です。要領が悪く、複数の仕事を同時進行したり、たくさんの仕事をこなすのが苦手です。棚橋選手はとてもお忙しいと思いますが、仕事が溜まってしまったりしませんか。やるべきことがたくさんあるとき、どうしていますか。 

 

新日本プロレスに入門した1年目の頃を思い出しますね。新弟子は洗濯、掃除、料理番といった雑用仕事がたくさんあって、僕もいつもテンパってました。だから、心配はいりません。1年目は誰だって未経験。要領が悪くて仕事をうまくこなせないのはあたりまえです。

ただ、2年目、3年目からは要領の悪い人とそうでない人の差がついてくるかもしれません。新日本の道場では2年目以降、体重(筋肉量)が増えてくる人となかなか増えてこない人がいました。体重が増えてくるのは、後輩に仕事をうまく振れる人。仕事を振ると自分の時間ができて、そのぶん練習量が増えてパワーアップしていくのです。

相談者さんの場合も、勝負は2年目以降でしょう。職場に新人が入ってきたら、仕事をうまく分担して、自分を磨くための時間を確保する。それによって2年目以降の成長が変わってくるんじゃないでしょうか。

ちなみに後輩に仕事を振るとき、押しつけてはダメです。「おまえを信頼しているから、この仕事を任せるんだ」というように相手のやる気を引き出す形で振れば、後輩も意気に感じて頑張ってくれるはずです。

後輩に仕事を振ってもまだうまくこなせないのだとしたら、優先順位のつけ方を失敗しているのではないでしょうか。僕は練習や試合の他にも、プロモーション活動、最近は小説の執筆依頼もあって、毎日複数の仕事に忙殺されています。空いた時間があれば3DSでモンハン(ゲーム「モンスターハンター」)をやっているから、相当忙しい!(笑)。

それでも何とか回っているのは、自分の中で優先順位がはっきりしているからです。たとえば、シリーズ中なら体調管理と練習が最優先。他の仕事が遅れがちでも、後回しです。逆にシリーズが終われば、シリーズ中にできなかった書き仕事の時間を真っ先に確保して帳尻を合わせる。そうやって自分の中でルールを決めておけば、仕事に振り回されることはなくなります。

優先順位は重要度や緊急度を考慮して決めますが、もう一つ、僕が自分に課しているルールがあります。それは、楽な道と厳しい道があるなら厳しい道を選ぶこと。

たとえば楽なトレーニングとキツいトレーニングがあれば、キツいほうを選びます。服の選び方もそうです。無難なものと、普段自分が着ないものがあれば、いつも着ない服を買う。こうしたルールを決めているから、迷う時間はほとんど生じない。いつも即断即決です。

どうして、あえて厳しいほうを選ぶのか。それは終わったあとの達成感が大きく、自分を成長させてくるからです。

厳しい道を選べば当然、失敗する確率は高まります。ただ、たとえ失敗して余計に時間がかかったとしても、難しいことに挑戦した誇りと、クリアするためにやった工夫が自分の中に残ります。自分の中に蓄積された誇りや工夫があれば、次のチャレンジのときに時間が半分で済むようになるかもしれない。長い目で見れば、厳しい道を選んだほうが仕事は早く片づきます。

要領の良さは、決して天性のセンスで決まるものじゃない。厳しいことに全力で挑戦した結果の積み重ねが、要領の良さにつながるのです。

 

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著者紹介

棚橋弘至(たなはし・ひろし)

プロレスラー/新日本プロレス所属

1976年、岐阜県生まれ。98年、入門テストに合格。99年、立命館大学法学部を卒業後、新日本プロレスに入門。同年デビュー。2003年、初代U-30王者。06年、IWGPヘビー級王座を初戴冠。09年、11年プロレス大賞MVP。14年、第7代IWGPインターコンチネンタル王者に。第45代、47代、50代、52代、56代、58代、61代IWGPヘビー級王者。著書に、『全力で生きる技術』(飛鳥新社)など。

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