2016年09月23日 公開
2022年09月12日 更新
では、こうしたリスクが顕在化しなければ、いずれ政府の目指すゆるやかなインフレが達成され、中間層のマネー面での心配がなくなるのかといえば、そうではない。景気の動向よりも我々の家計に大きな影響を与える要素がある、と指摘する。
「AI化によって、今後10年間でなくなる仕事が続出します。たとえば、銀行での融資の審査は自動化されて、融資担当者はいらなくなるでしょう。医療の分野も変わりそうです。体温や血液のデータを解析し、顔や舌などを画像認識する技術があれば、日常の疾病を診断するは専門知識・技術をもたないタイプの医者は不要になるでしょう。
技術の発展による失業を『技術的失業』といいます。これまでの新技術が登場するたびに技術的失業は起きていました。ただ、かつては階段を一段だけ昇ればよかった。たとえば炭鉱労働者が失業したとしても、一つステップアップして重機の運転免許を取ればトンネル工事の仕事ができました。
一方、AI化による技術的失業でなくなるのはホワイトカラーや熟練したブルーカラーの仕事です。これまでのように階段を一段昇るというやり方では対応できないのです。
AI化やロボット化が進んでも生き残る職業は、クリエイティブ職かホスピタリティ職と言われています。これからは、そのことを念頭に置いてキャリアを積んでいくべきでしょう」
いずれやってくる大失業時代。万が一に備えての資産運用ももちろん検討すべきだが、それ以上に大切なことがあるという。
「資産運用するなら、少なくとも1,000万円ないと、意味のある利回りを得ることはできない。それ以下の金額を回して毎日、相場をチェックして一喜一憂するのは時間の無駄。同じ時間を使ってアルバイトをしたほうがずっと稼げるでしょう。
大切なのはむしろ、人間関係資本、つまり人脈です。もし失業しても、『あの人は真面目で、仕事ができるから』と言って仕事を紹介してくれる人がいればリスクヘッジになります。貯金が1,500万円あっても、3年間無収入なら消えてなくなる。お金よりよほど頼りになるのが人間関係資本なのです。
地方のヤンキーたちが地元を離れないのも、そこに人間関係資本があるからです。我々も少なくとも、個人的な相談ができる友人を大勢抱えておいたほうがいいでしょうね」
更新:11月22日 00:05