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AIに仕事を奪われる「大失業時代」にどう備えるか

2016年09月23日 公開
2022年09月12日 更新

飯田泰之(駒澤大学准教授)

タワーマンションの資産価値のリスクとは?

マネー面ではもう一つ、我々が備えておくべき大きなリスクがある。不動産だ。

「多くの人は、定年時の資産のうちもっとも大きなものは不動産だと想定して老後のプランを立てます。しかし、人口減によって不動産の価値は二極化しています。人口が減れば人々はまとまって暮らすようになるため一部地域は値上がりしますが、逆にそれ以外のエリアは大きく値を下げます。『定年後に今持っている家を売って中古に住もう』などと考えていても、価格が下がって売るに売れないケースが増えてくるでしょう。
とくに戸建ては注意が必要です。30~40年も経つと上物の簿価はほぼゼロになります。それどころか『現況古家あり』といわれて、取り壊しのコストの分マイナス評価になるおそれもあります。
一方、マンションだから大丈夫とも言えません。個人的には、将来、タワーマンションの修繕が本当に可能なのかどうか不安です。10階建てくらいのマンションが建て替えられた例はあっても、タワマンはまだない。修繕が難しいとなれば、価値は大きく落ちるでしょう。
ただ、私は『賃貸でいい』という意見にも懐疑的です。65歳を過ぎると転居が大幅に困難になる。つまりは借家の審査が通らなくなるんですね。更新ですら渋られたり悪条件を押し付けられたりするかもしれない。そういった現実を踏まえて住まいについては今からしっかり考えるべきでしょう」

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著者紹介

飯田泰之(いいだ・やすゆき)

エコノミスト/明治大学政治経済学部准教授

1975年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。駒澤大学准教授を経て現職。㈱シノドスマネージング・ディレクター、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。『ゼロから学ぶ経済政策』(角川oneテーマ21)、『世界一わかりやすい経済の教室』(中経の文庫)、『経済学思考の技術』(ダイヤモンド社)など、著書多数。

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